高知県公文書開示審査会答申第80号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第80号

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諮問第80号


第1 審査会の結論

知事は、「平成12年度医療監視結果通知書」「平成12年度改善措置報告書」「平成12年度施設表、監視表」について、開示しないこととした部分のうち、別表1の「審査会の判断」の欄に「非開示」と記載されている情報を除き、開示すべきである

第2 異議申立ての趣旨

本件異議申立ては、異議申立人が平成13年8月15日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「12年度医療監視の結果について(通知書)の全て、同上厚生省への報告書、監視結果について行われた措置、医療監視のとき提出を求めた(作成した)施設表、監視表」の公文書開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が部分開示とした「『平成12年度医療監視結果通知書』『平成12年度改善措置報告書』『平成12年度施設表、監視表』」(以下「本件公文
書」という。)の非開示部分の情報について開示を求めるというものである。

第3 実施機関の部分開示決定理由等

実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述、審査会の質問事項に対する回答の中で主張している部分開示決定の理由等の主な内容は、次のように要約できる。
1 医療監視について
(1)医療監視について
本件公文書は、医療機関に対して、医療法第25条の規定に基づく立入検査(以下「医療監視」という。)を行った結果に関するものである。
医療監視は、医療機関が医療法その他の法令により規定された人員、清潔の保持の状況、構造設備、あるいは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査し、適正な管理を行っているか否かについて検査、指摘することにより、医療機関を科学的かつ適正な医療を行う場にふさわしいものとすることを目的としている。
実施方法としては、知事が任命をした医療監視員が医療機関に赴き、構造設備及び診療録等の関係書類を検査して所要の判定を行い、不適合事項がある時には当該医療機関の開設者に対して当該事実を通知し、必要に応じて改善計画等を聴取している。
(2)本件公文書について
平成12年度医療監視結果通知書(以下「通知書」という。)は、医療監視の指摘基準表の指摘項目に該当する指摘事項を医療機関に通知したものである。
平成12年度改善措置報告書(以下「報告書」という。)は、医療監視により医療機関に対して改善措置の状況の報告を求めた指摘事項に対して、医療機関から改善措置の報告があったものである。
平成12年度施設表、監視表(以下「施設表等」という。)は、診療所を除く医療機関の医療監視結果を国に報告したものであり、医療監視時点での施設情報や判定結果が記載されている。
これらには、開示請求時点では、既に是正、改善が行われているものや、改善に取り組まれているものも含まれる。
2 高知県情報公開条例の一部を改正する条例(平成13年3月27日条例第11号)による改正前の高知県情報公開条例、又は高知県情報公開条例等の一部を改正する条例(平成14年3月29日条例第6号)による改正前の高知県情報公開条例(以下、これらを併せて「旧条例」という。)第6条第2号該当性について
「報告書」の氏名等は、個人に関する情報であって、開示することにより特定の個人を識別することができると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
3 旧条例第6条第3号該当性について
(1)医療機関名を識別することができる情報について
医療機関に対する指摘事項や医療機関が改善した事項、医療機関に対する判定事項等(以下、これらを併せて「指摘事項等」という。)は、興味本位で伝えられることが多い。
公立医療機関(国立を含む。以下同じ。)以外の通知書、報告書、施設表等を開示することにより、既に是正、改善された指摘事項等を公開することにもなり、実態からかけ離れた情報が一人歩きし、そうした情報によって医療機関が評価され、入院患者等が医療機関や医療行政に対して不安や不信感を抱くことにより、患者と医療機関との信頼関係が失われるなど、医療現場での混乱を生じることとなる。
また、真実と異なった評価がなされることにより医療機関の社会的評価が低下するが、医療法の中で医療機関は広告が制限されており、情報を出すことに制約があることから、一度低下した社会的評価の信頼回復は容易ではない。
僻地医療における医師数の不足の問題をとっても、大学の系列の問題や地域的な問題もあり、自由競争の中で、必ずしも地域医療に貢献している病院に医師が来てくれるという状況ではない。したがって、指摘事項は正確に判断しなければならないが、指摘事項だけが一人歩きし、それによって医療機関が評価されることは問題がある。
したがって、医療機関名、開設者名、保健所名、医療監視実施年月日、医療従事者数、その他医療機関を識別できる事項(以下、これらを併せて「医療機関を識別することができる情報」という。)を開示することにより、開示した指摘事項等と結びつけて個々の医療機関についての指摘事項等が明らかとなり、当該医療機関の社会的信用を低下させ、競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められる。
(2)個々の公文書について
ア 「通知書」及び「報告書」
公立医療機関以外の「通知書」及び「報告書」に記載されている大学等の名称等、各医療機関の事情に関する情報については、開示されることによって当該大学等との協力関係及び信頼関係が崩れる等、結果的に当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないと認められる。
イ 「施設表等」
公立医療機関以外の施設表中の1日平均入院患者数、1日平均収容新生児数、1日平均患者数、1日平均調剤数については、各医療機関の患者の利用状況を表したものであり、開示することにより当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないと認められる。
また、施設表中の医療従事者数、設備概要、業務委託、建物の構造面積・敷地の面積については、単に数字のみを比較したり、設備の有無等を比較することにより、結果的に医療機関の評価につながり、当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないと認められる。
4 旧条例第6条第5号ア該当性について
(1)公立医療機関について
公立医療機関については、医療機関を識別することができる情報を開示することにより、個々の医療機関についての指摘事項等が明らかとなり、上記3に記載した公立医療機関以外と同じ理由により当該医療機関の社会的信用を低下させ、結果として診療行為等医療機関の行う事務事業に支障が生じると認められる。
(2)公立医療機関以外について
公立医療機関以外については、医療機関を識別することができる情報を開示することにより指摘事項等が明らかにされることになれば、自己に不利益な情報を故意に隠すなどの対応がなされることとなり、今後も反復継続する医療監視業務の適切かつ円滑な執行に著しい支障を来すものと認められる。
5 福祉施設の情報公開との関係について
異議申立人は、高齢者福祉施設については監査結果や改善報告等が公開されており、公開に差をつける根拠はない旨を主張するが、医療に関する広告は他の広告に比べて制限されている点が、高齢者福祉施設の場合と異なるため、差異が生じることについてはやむを得ない。
また、施設内で医療行為が行われる介護老人保健施設について監査結果等が公開されることについては、対象者や医療行為内容が医療機関に比べて限定されていることから、医療機関の場合と状況が異なり、差異が生じることはやむを得ない。

第4 異議申立人の主張

異議申立人が異議申立書、意見書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
1 医療監視に関する情報公開について
医療に関する情報公開は、医療過誤等を防ぎ、営利化への弊害を改めるため県民に監視と発言の機会を与え、患者の人権を守るための公益上の重要な意義を持つ。
本件公文書は、県内医療機関が法を遵守しているか、事故や災害のおそれがないか、適正サービスを保障する体制が整備されているか等、県民が知らなければならない事実が記載されたものであり、是正がどう行われたかについても、県民の利害に大きな影響を持つ。
2 旧条例第6条第3号該当性について
公的医療機関以外の各医療機関は、医療監視で指摘されることのないよう努めるのが当然である。また、一部指摘事項があっても各医療機関は改善を進めているのであるから、実施機関は、指摘事項等を開示することにより患者離れ等の現象が起きると主張するなら、その因果関係を具体的に説明しなければならないが、根拠を示していない。
むしろ、医療機関の社会的評価は医療情報の公開、患者との信頼関係を構築する医療機関の努力によって左右されるため各病院は医療機能評価制度などを利用して社会的認知を受けようと努力している。実際に患者の流動状況は、医師の力量や病院の姿勢、施設水準等を患者が直接見聞きしている体験に左右されるものである。
3 旧条例第6条第5号ア該当性について
(1)公立医療機関について
県立病院の施設管理や医療等が法的基準に比して現実がどのようになっているかについては、白書等で情報提供すべきものであり、本件公文書を開示して患者が離れ事業が困難になる根拠がどこにあるか全く不明である。自治体病院は、施設表や監視表にあるデータは予算書や決算書、事業報告書等で公表しており、監査委員による監査結果も公表されている。
また、議会で監視内容に係る質問が出れば具体的に答える義務があり、非開示にする根拠はない。
(2)公立医療機関以外について
実施機関は公立医療機関以外について、自己に不利益な情報を故意に隠すなどの対応がなされ、反復継続する医療監視業務の適切かつ円滑な執行に著しい支障を来すと主張するが、仮に虚偽の情報を提供するような傾向があれば立入検査等でこれを正すのが担当課の果たすべき業務であり、そのために医療法等で特別の権限が付与されている。したがって上記主張は責任回避のためのものでしかない。
4 福祉施設の情報公開について
老人保健施設や高齢者福祉施設等の法に基づく監査においては、監査結果や改善報告書がすべて公開されているが、実施機関が本件公文書で主張するような支障は現実に起きていない。
医療機関と福祉施設は、患者(利用者)と施設側との契約に基づく医療(福祉)に従事するものであり、両者の公開に差をつける根拠はない。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
本件公文書は、平成12年度に知事が行った医療監視の結果に関するものであり、第3の1の(2)のとおり、「通知書」「報告書」「施設表等」からなる。このうち「通知書」は、医療監視が行われた医療機関のうち、指摘がなされた医療機関について存在する。「報告書」は、「通知書」により指摘がなされた医療機関のうち、文書による報告を求められた医療機関のみが提出するものである。また、「施設表等」は、診療所を除く医療監視が行われたすべての医療機関について存在している。
なお、本件公文書については実施機関が医療機関名を開示しておらず、またページ番号等もないため、「通知書」及び「報告書」に当審査会において便宜的にページ番号を付し、別表1の中で「頁」として示した。
2 非開示理由の適用条例について
本件公文書は平成12年度に行われた医療監視に関するものであり、主に平成12年4月1日から平成13年3月31日に作成又は取得されている。また、「報告書」には平成13年4月1日以降に取得したものも含まれる。したがって、非開示理由の適用に当たっては、旧条例第6条各号が適用される。
3 旧条例第6条第2号該当性について
本号は、条例第3条後段の「個人に関する情報が十分保護されるように最大限の配慮をしなければならない」の規定を受け、原則公開の情報公開制度の下にあっても、特定の個人を識別することができる情報は、原則非開示とすることを定めたものである。
これは、個人のプライバシーを最大限保護するため、プライバシーであるか否か不明確な個人に関する情報も含めて、特定の個人を識別することができると認められる情報は、本号ただし書ア、イ、ウに該当する情報を除き開示してはならないとするものである。
本件公文書に記載されている情報のうち氏名等の情報について、実施機関は、旧条例第6条第2号を適用して非開示とするべきであると主張している。異議申立人はこれについては反論していないが、以下検討する。
(1)「通知書」
「通知書」中には薬剤師の氏名及び個別患者の病状が含まれている。これらは個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないと認められる。
(2)「報告書」
「報告書」中には看護婦や放射線診療者の氏名等の個人に関する情報が含まれており、個々に検討した結果、別表1の「審査会の判断」の欄に「非開示」、「旧条例第6条該当性」の欄に「第2号」と記載されている情報については、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないと認められる。
4 旧条例第6条第3号該当性について
本号は、法人又は事業を営む個人の権利及び利益の保護と事業活動の自由を保護し、公正な競争秩序を維持する観点から、開示することにより、法人等又は事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められる情報は、非開示とすることができると定めたものである。
また、本号ただし書は、人の生命、身体等を保護するため開示することが必要であると認められる情報又はこれに準じる情報で公益上必要と認められる情報は、開示することとしたものである。
(1)医療機関を識別することができる情報について
実施機関は、公立医療機関以外の医療機関について、本件公文書のうち個々の指摘事項等を開示したうえで、医療機関名を識別することができる情報を、旧条例第6条第3号を適用し非開示とするべきであると主張するので、以下検討する。
実施機関は、指摘事項等を開示することにより実態からかけ離れた情報がひとり歩きして混乱を生じ、また、医療機関は医療法により広告が制限されているため、一度低下した社会的信用を回復するのは容易ではないと主張する。
確かに、本件公文書は医療機関別の「通知書」「報告書」「施設表等」からなっており、「通知書」には指摘事項が、「報告書」には指摘事項とそれに対する改善措置の状況が、そして「施設表等」のうち施設表には施設名、開設年月日等の施設の状況及びその状況に対する総合的な検査結果、監視表には具体的な検査項目とそれに対する検査結果が記載されている。実施機関は、それぞれに記載された指摘事項等を開示していることから、医療機関を識別することができる情報を開示することにより、個々の医療機関について指摘事項等が明らかとなることが認められる。
しかしながら、例えば医師数の不足の問題をとってみれば、医師数の不足を指摘されたことが開示されたとしても、医療従事者の全体的な不足や社会情勢、また、現実に多くの医療機関で医師数の不足が指摘されている状況を見れば、医師数の不足をもってただちに医療機関の評価が下がり、競争上の利益を害するものではない。また、仮に指摘事項等が医療機関の社会的評価となっても、指摘事項等が正当なものであれば、当該医療機関の正当な利益を害するとは認められない。
さらに、広告という手段は利用できないとしても、指摘事項のみを開示するのではなく、改善措置報告も開示することにより、指摘事項に対してどのような改善がなされたかということも開示されるので、県民の不安も解消することができる。
したがって、指摘事項等がひとり歩きし、そうした情報によって医療機関が評価され、興味本位に伝えられるという実施機関の主張は、抽象的な心配材料に過ぎず、具体的な根拠に欠ける。このため、開示することにより、当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害するとは認められず、実施機関の主張は認められない。
(2)個々の公文書について
ア 「通知書」及び「報告書」
実施機関の主張するとおり、公立医療機関以外の医療機関の「通知書」には医療機関の取引先である業者名が、また、公立医療機関以外の医療機関の「報告書」には、各医療機関が指摘事項に対して報告した改善計画等の具体的な内容が記載されており、医師の確保に関して協力を依頼する大学の名称や、「通知書」と同じく医療機関の取引先の業者名等が記載されている。
このうち、国公立の大学の名称については、通常大学から医師が診療に来る場合は院内に大学名を含めて掲示するなど、その関係を明らかにしている場合もあることから、開示することにより当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。
しかしながら、当該医療機関の民間の取引先の名称は、当該医療機関及び取引先業者にとって、事業活動に関する情報であって、開示することにより当該法人の競争上の地位を害すると認められる。ただし、医師紹介誌等の名称については、医療機関であれば、医師を探す時にはそれらの医師紹介誌等を利用するものであるということは、周知の事実であると考えられ、特に当該医療機関との取引関係を示す情報ではなく、開示しても、当該医療機関の競争上の地位を害するものではない。
そこで旧条例第6条第3号該当性について個々に検討した結果、別表1の「審査会の判断」の欄に「非開示」、「旧条例第6条該当性」の欄に「第3号」と記載されている情報は、開示することにより当該法人の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないため、本号に該当すると認められる。
イ 「施設表等」
施設表には、個々の医療機関について、病院種別、許可病床数、1日平均入院患者数、従業者数、設備概要等の施設の状況及びその状況に対する総合的な検査結果が記載されている。
(ア)公立医療機関以外の医療機関の施設表中の医療従事者数、設備概要、業務委託、建物の構造面積・敷地の面積について実施機関は、単に数字のみを比較したり、設備の有無等を比較することにより、結果的に医療機関の評価につながると主張する。
しかしながら、従事者数や設備、建物については医療機関の利用者等から見れば通常明らかになる情報であり、また業務委託についても、業務委託の有無が記載されたものであり、委託先まで記載したものではない。したがって、開示することにより当該医療機関の評価を低下させたり、当該医療機関の取引関係が明らかになるものであるとは言えず、当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。
(イ)また、公立医療機関以外の医療機関の施設表中の1日平均入院患者数、1日平均収容新生児数、1日平均患者数、1日平均調剤数及び1日平均外来患者に係る取扱処方せん数については、実施機関が主張するとおり各医療機関の患者の利用状況を表したものであって、医療機関の経営に関する情報である。したがって、開示することにより当該医療機関の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないと認められる。
以上により、別表1の「審査会の判断」の欄に「非開示」、「旧条例第6条該当性」の欄に「第3号」と記載されている情報は、開示することにより当該法人の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しないため、本号に該当すると認められる。
5 旧条例第6条第5号ア該当性について
本号は、県又は国等が行う事務事業のうち、開示することにより当該事務事業の目的を失い、又は公正、円滑な執行ができなくなり、ひいては県民全体の利益を損なうことになる情報は、非開示とすることを定めたものである。
(1)公立医療機関について
実施機関は、公立医療機関以外の医療機関について主張した旧条例第6条第3号該当性と同じ考え方に立ち、公立医療機関についても、指摘事項等を開示した上で、医療機関を識別することができる情報を開示することにより、診療行為等医療機関の行う事務事業に支障が生じると主張する。
しかしながら、そもそも公立医療機関は経営内容等を住民に明らかにしていくべき性格のものである。指摘事項に対しても、指摘された点について改善措置がなされることが期待されるわけであって、指摘されたことにより患者が減るなどの支障が生じるとは考えられない。そして、広告は制限されているとしても、指摘事項のみを開示するのではなく、改善措置報告も開示することにより、指摘事項に対してどのような改善がなされたかということも開示されるので、県民の不安も解消することができる。
したがって、実施機関の主張は認められない。
(2)公立医療機関以外の医療機関について
実施機関は、公立医療機関以外の医療機関について、当該医療機関に対する判定結果が明らかにされることになれば、自己に不利益な情報を故意に隠すなどの対応を医療機関が行うことにより、医療監視業務に著しい支障を来すと主張する。
しかしながら、医療法第74条第2号には虚偽の報告に対する罰則が規定されており、医療機関としては、指摘事項等の公開が前提となれば、故意に情報を隠した場合にその事実が発覚する可能性が高まることも考えられ、危険を冒してまで虚偽の報告を行うことは考えにくい。
また、仮に医療機関が不利益な情報を隠すならば、それは指摘事項等が公開されるか否かにかかわらず考えられることであって、仮に事実が隠されて医療監視が終わったとしても、結果を公開することにより、事実と異なる点が利用者等から指摘されれば、それによってさらに調査を行い、監視業務の本来の目的を達成することができる。
したがって、開示することにより、監視業務に著しい支障が生ずるとは言えず、本号該当性は認められない。
6 開示すべき部分
3及び4の(2)で旧条例第6条第2号及び第3号に該当すると判断し、別表1で「非開示」とした部分を除いて、開示すべきである。

第6 結論

当審査会は、本件公文書を具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

別紙1  知事が開示しないこととした情報 [その他のファイル/211KB]


別紙2 当審査会の処理経過は、次のとおり。
年月日 処理内容
平成13年11月12日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成13年12月12日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成14年1月24日 ・ 異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。
平成14年 7月23日
(平成14年度第4回第二小委員会)
・ 実施機関の職員から意見聴取を行った。
・ 諮問の審議を行った。
平成14年 8月26日
(平成14年度第5回第二小委員会)
・ 異議申立人から意見聴取を行った。
・ 諮問の審議を行った。
平成14年12月10日
(平成14年度第6回第二小委員会)
・   諮問の審議を行った。
平成15年 1月14日
(平成14年度第9回第二小委員会)
・   諮問の審議を行った。
平成15年 2月21日
(平成14年度第11回第二小委員会)
・   諮問の審議を行った。
平成15年 3月20日
(平成14年度第14回第二小委員会)
・   諮問の審議を行った。
平成15年 4月30日
(平成15年度第1回公文書開示審査会)
・   諮問の審議を行った。
平成15年6月3日 ・ 答申を行った。

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