高知県公文書開示審査会答申第95号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第95号

〈概要版へ〉

諮問第95号


第1 審査会の結論

 知事が、「南国市岡豊町蒲原160-82の水路上に駐車場を設置するに至ったその目的や経過・手続など一切の書類」を、不存在とした決定は妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成14年4月28日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。)に基づき行った「南国市岡豊町蒲原160-82の水路上に駐車場を設置するに到ったその目的や経過・手続きなど一切の書類」の開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が平成14年5月13日付けで行った不存在決定の取消しを求めるというものである。

第3 実施機関の不存在決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している不存在決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。

1 南国市岡豊町蒲原160-82は県営住宅蒲原団地の敷地であり、用悪水路として県が管理している。蒲原団地は、昭和60年に竣工、供用開始しているが、当時の補助事業では、駐車場の設置工事は認められておらず、蒲原団地建設時の書類でも水路は開渠であり、その後県が水路上に駐車場を設置したとの記録は見つからなかった。

    県以外の者(団地自治会等)が駐車場を設置する場合は、敷地を管理している県が使用許可を出し、毎年許可の更新を行うのが通常であるため、許可に関する書類も調査したが、該当する書類は見つからなかった。

    また、駐車場設置に至った目的、経過、手続き等に関する書類についても調査を行ったが、存在を確認できなかったため、公文書不存在の決定を行った。

   2 異議申立人は、「県は、事実関係を調査し、それを公文書として保存するとともに、異議申立者に交付しなければならない。」と主張しているが、条例による開示請求の対象となるのは、現存する公文書についてであり、新たに公文書を作成し、開示する義務まで負わすものではないと考える。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。

   1 県有地上に駐車場が設置されているのだから、それに関する公文書があってしかるべきである。

   2 県有財産である水路(土地)の上に、県以外の者(団地自治会等)が、敷地を管理している県の使用許可を得ないで、288室分の利用に応えるだけの駐車場がないという理由で駐車場を設置した。県は、その行為を黙認し、永年県有財産管理上の適切な書類手続きを一切行ってこなかった。

     条例による開示請求の対象となるのは、現存する公文書のみであるとの主張は一定理解できるものではあるが、公文書が無いのであれば、この際、駐車場設置に至った目的、経過、手続などを、関係した職員(当時の職員を含む)や駐車場設置に関係した県以外の者(団地自治会等)に直接面談して調査し、高知県財産規則に基づいて公文書として作成し、開示すべきである。

第5 審査会の判断

1 公文書不存在決定の妥当性について

    実施機関は、調査を行ったが、駐車場設置に至った目的、経過、手続きなどに関する書類の存在は確認できなかったと主張している。

一方、異議申立人は、県営住宅蒲原団地敷地内にある用悪水路上に駐車場が設置されているのだから、それに関する公文書があってしかるべきと主張しているので、以下検討する。

  (1)実施機関によると、当時、駐車場は補助事業の対象ではなかったが、実質、自動車を所有している方がいたので、団地入居者の利便性を図る観点から、一世帯一台に限り、団地内空きスペースへの自動車の駐車を認め、管理運営については、団地自治会が行ってきた経緯がある。当該水路上の駐車場についても、団地自治会の下で管理されていたと考えられ、また県の許可等についても、当時の管理規程上、駐車場についての明確な位置づけがなかったため、当時の県の担当者が口頭等で承認をした可能性が考えられるとのことである。

   (2)また、実施機関が聞き取り調査を行ったところ、昭和63年度の担当者は、駐車場の存在までは記憶にないが、自治会から駐車場の数が足りないとの話があったことは覚えているとのことであり、また、平成7年以降の担当者は、当時現地に駐車場が存在することを確認しており、自治会役員から、同駐車場は県の一定の了承のもと設置したという話を聞いたということである。

   (3)なお、平成8年の公営住宅法改正により、駐車場が共同施設として位置づけられたことを受け、実施機関は駐車場の整備と有料化を順次進めており、県以外の者(団地自治会等)が駐車場を設置する場合、敷地を管理している県が使用許可を出し、毎年許可の更新を行うのが通常であるため、許可に関する書類も調査したが、該当する書類は見つからなかったとのことである。

また、当該水路上の駐車場については共同利用施設の対象外であり、駐車場代は徴収していないが、団地入居者の総意を代表する団地自治会の管理下におかれるものであって、そのうえで、外来用に供する目的で利用するものであるので、取り壊し等の措置はとらなかったとのことである。

(4)以上の実施機関の説明、聞き取り調査の結果を鑑みれば、実施機関の公文書の不存在に関する説明は不合理なものではなく、実施機関の行った公文書不存在の決定は妥当なものと認められる。

2 駐車場設置に至った事実関係の調査及び公表について

異議申立人は、事実関係を調査し、県の財産規則に基づき公文書を作成し、開示すべきであると主張するが、当審査会は、本件不存在決定そのものの妥当性について審査する機関であり、異議申立人の主張については判断しない。

第6 結論

当審査会は、本件不存在決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成14年9月5日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成14年9月30日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成16年8月11日 ・ 異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。

平成16年8月19日
(平成16年度第7回第三小委員会)

・ 実施機関の意見陳述及び諮問の審議を行った。

平成16年10月18日
(平成16年度第9回第三小委員会)

・ 諮問の審議を行った。

平成17年1月24日
(平成16年度第3回公文書開示審査会)

・ 諮問の審議を行った。
平成17年3月28日 ・ 答申を行った。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 総務部 法務文書課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 法令担当 088-823-9329
法人指導・行政不服審査担当 088-823-9160
訴訟担当 088-823-9619
公文書担当 088-823-9045
情報公開・個人情報担当 088-823-9156
ファックス: 法令、法人指導・行政不服審査、訴訟 088-823-9128
公文書、情報公開・個人情報 088-823-9250
メール: 110201@ken.pref.kochi.lg.jp
Topへ