公開日 2019年07月11日
高知県の生物指標(水生昆虫等による水質評価)
生物指標とは
環境指標生物の生息状況や変化などを参考にして、ある地域の環境状態や変化などを推測することができます。
●生物の生態を利用
生物は、それぞれの生態にあわせ、好適な環境を選択して生息しています。この性質を利用して、さまざまな生物の中で、限られた環境にのみ生息でき、かつ、環境の変化に敏感な性質を持つ種について、その分布状況、経年変化等を調べることによって、地域の環境を類推・評価することができます。
このことを生物指標といい、これらの生物を環境指標種(もしくは指標種)といいます。
●指標種による水質調査
現在、この指標生物、特に淡水生物の多様性や生息数などを調べることで、河川水質の状態を評価しようとする調査、研究が盛んに行われています(生物学的水質判定といいます)。
BODやDOなど化学分析による方法は、河川の瞬間的な状態であるのに対し、生物学的水質判定では、長期的な水質変動の平均的な様相を反映しているのが特徴です。
指標生物の条件
- 移動性がなく各地点に定着して生活する。
- 分類が確立しており、個体識別が可能で肉眼的にも見分けやすい。
- 水温、標高差などの地理的条件の影響が少なく、生息の制限因子が水質であること。
- 生息密度が高いこと。
水質階級 | 汚れの程度 | 階級が示す環境 | 指標生物 | |
---|---|---|---|---|
種類数 | 種名 | |||
Ⅰ | きれいな水 | 上流の渓流環境 | 10種 |
カワゲラ類、ヒラタカゲロウ類、ナガレトビケラ類、ヤマトビケラ類、アミカ類、ヨコエビ類、ヘビトンボ、ブユ類、サワガニ、ナミウズムシ |
Ⅱ |
ややきれいな水 |
栄養塩の流入がある中流域の環境 |
8種 |
コガタシマトビケラ類、オオシマトビケラ、ヒラタドロムシ類、ゲンジボタル、コオニヤンマ、カワニナ類、ヤマトシジミ、イシマキガイ |
Ⅲ | きたない水 |
河口域の汽水域、又は、周辺に豊かな自然が残る田園環境、川の水位変動により本流とつながったり、取り残されて溜まり水(池)になる環境 |
6種 |
ミズカマキリ、ミズムシ、イソコツブムシ類、タニシ類、シマイシビル、ニホンドロソコエビ |
Ⅳ | とてもきたない水 | 5種 |
ユスリカ類、チョウバエ類、アメリカザリガニ、エラミミズ、サカマキガイ |
水生生物に関する研究
水生昆虫等を主軸に高知県の環境を生物学的視点からとらえる調査・研究を行っています。
●高知県内河川の生物による水質評価
衛生環境研究所では、高知県内河川において、生物による水質評価を進め、また、得られた結果を理化学的な水質評価と比較することで、より包括的に河川環境の状態を把握する資料としてきました。さらに、県内河川の生物学的水質階級地図を作成することにより、環境教育の資料として活用してきました。
** 出典
堀内泰男・山崎泰久.1998.高知県内河川における生物による水質評価(第7報).高知県環境研究センター所報,15,23-115.
こちらから地図をダウンロードできます。>>>地図[PDF:505KB]
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