公開日 2020年05月29日
1 家畜伝染病予防法とは
この法律は、家畜の伝染性疾病の発生予防とまん延防止により、畜産の振興を図ることを目的に昭和26年に制定されました。
家畜の伝染性疾病の発生を予防するための届出、検査等
家畜の伝染性疾病のまん延を防止するための発生時の届出、殺処分、移動制限等
家畜の伝染性疾病の国内外への伝播を防止するための輸出入検疫
国・都道府県の連携、費用負担等
家畜の所有者が遵守すべき衛生管理方法に関する基準(飼養衛生管理基準)の制定
生産者の自主的措置
等について定められています。
2 家畜伝染病予防法の改正
平成30年9月に我が国で26年ぶりに発生が確認されたCSF(豚熱)については、同病に感染した野生いのししによって広域に病原体が拡散し、現在に至ってもなお収束していません。
このため、野生動物の感染に対する対策を強化するとともに、農場における飼養衛生管理を徹底し、家畜の伝染性疾病の発生予防及びまん延防止を図る必要があります。
加えて、平成30年以降、アジア地域においてASF(アフリカ豚熱)の発生が急速に拡大し、我が国への侵入脅威が一段と高まっているため、畜産物の輸出入を強化し、同病を含む悪性伝染性疾病の侵入防止を徹底する必要があります。
こうした事態に迅速かつ的確に対処するため、国は、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を第201回国会に提出し、令和2年3月27日に成立、4月3日に公布されました。
改正の概要
1)家畜の伝染性疾病の名称変更(豚熱、アフリカ豚熱、その他)
2)家畜の所有者・国・都道府県・市町村・関連事業者の責務の明確化
3)飼養衛生管理基準の遵守に係る是正措置等の拡充
① 衛生管理区域に入る者にのみ又は汚染された畜舎・倉庫等から出る者にのみ課せられている消毒義務が、当該施設どちらも出入りする者に課せられるようになりました。
②家畜の所有者は、衛生管理区域ごとに、飼養衛生管理に係る責任者を選任する制度が創設されました。
③飼養衛生管理の指導等に係る指針(国が策定)・計画(都道府県が策定)の制度が創設されました。
④まん延防止措置として、都道府県知事は、家畜の所有者に対し、飼養衛生管理基準の遵守について、指導・助言を経ないで緊急に勧告・命令ができるようになりました。併せて、国の都道府県知事に対する指示の対象事務に追加されました。
⑤都道府県知事は、飼養衛生管理基準の遵守に係る命令違反者を公表できるようになるとともに、国は、都道府県における飼養衛生管理の状況等について、積極的に公表できるようになりました。
⑥飼養衛生管理に関する罰則が強化されました。
4)野生動物における悪性伝染性疾病のまん延防止措置の方への位置付け
①野生動物における悪性伝染性疾病の浸潤状況調査、経口ワクチン散布等が法に位置付けられました。
②野生動物で悪性伝染性疾病の感染が発見された場合にも、発見された場所等の消毒や当該場所とその他の場所との通行制限、周辺農場等に対する家畜の移動制限、飼料業者・運送業者等関連事業者の倉庫・車両の消毒などの病原体拡散防止措置が実施できるようになりました。
5)予防的殺処分の対象疾病の拡大
①予防的殺処分の対象疾病にASFが追加されました。
②野生動物で口蹄疫又はASFの感染が発見された場合にも、予防的殺処分が実施できるよう措置されました。
6)家畜防疫官の権限等の強化
①出入国者の携帯品中の畜産物(肉・肉製品)の有無を、家畜防疫官が質問・検査できるようになりました。
②輸出入検疫の結果、発見された違反畜産物について、家畜防疫官が廃棄できるようになりました。
③動物検疫所長は、輸出入検疫に係る事務を円滑に行うため、船舶・航空会社や海・空港の管理者等に対して必要な協力を求めることができるようになりました。
④輸出入検疫に関する罰則が強化されました。
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