公開日 2023年03月10日
更新日 2024年10月08日
結核の基礎知識
結核は過去の病気ではありません。
日本では、かつて結核で亡くなる人が年間約10万人にものぼり、「国民病」と言われていました。その後、大幅な改善はしたものの、結核は根絶されたわけではありません。今なお新しい患者が年間約1万1千人発生し、罹患率、死亡率とも先進国の中でも高い状況です。高知県でも近年は減少傾向にありますが、未だ年間50人程度の患者が発生しています。特に80歳以上の高齢者が多い状況です。
平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
新登録患者数(人) | 16,789人 | 15,590人 | 14,460人 | 12,739人 | 11,519人 | 10,235人 |
罹患率(人口10万対) | 13.3 | 12.3 | 11.5 | 10.1 | 9.2 | 8.2 |
平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
新登録患者数(人) | 94人 | 74人 | 77人 | 49人 | 48人 | 54人 |
罹患率(人口10万対) | 13.2 | 10.5 | 11.0 | 7.1 | 7.0 | 8.0 |
結核は空気感染です。
結核は、結核菌が体の中(主に肺)に入ることによって起こる病気です。結核を発病している人が体の外に菌をだすことを「排菌」といいます。せきやくしゃみをすると、結核菌を含む小さなしぶきが飛び散り、それを他の人が吸い込むことにより「感染」します。ただし、結核菌を吸い込んでも必ず「感染」するわけではありません。多くの場合、体の抵抗力により追い出されます。しかし、しぶとく菌が体内に残ることがありますが、ほとんどの場合、免疫によって封じ込められたままであり、一生発病しません。こうして菌が体内に潜伏し、封じこめられたまま活動していない状態のことを「感染」といいます。「感染した」だけの状態なら、周囲の人にうつす(感染させる)心配はありません。
「感染」したからといって、全ての人が「発病」するとは限りません。
「発病」とは、感染した後、結核菌が活動を始め、菌が増殖して体の組織を冒してゆくことです。感染した人が発病する確率は、5~10%といわれています。感染してから2年くらいのうちに発病することが多いとされており、発病者の60%くらいの方が1年以内に発病しています。しかし、一方、感染後の数年~数十年後に結核を発症することもあり、いつ発病するかわからないというのが実状です。抵抗力のない人(高齢者、過労、栄養不良、他の病気による体力低下等)は発病しやすいので、注意が必要です。免疫力が弱まっているときは、結核菌が再び活動を始め、発病しやすい状態と考えられています。
2週間以上、せきや痰、微熱が続いたら病院にかかりましょう。
初期の症状は、カゼと似ていますが、せき、痰、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。また、体重が減る、食欲がない、寝汗をかく、などの症状もあります。
結核を予防するためには、健康診断の実施や医療機関への受診が必要です。
定期的に健康診断をきちんと受けることが重要です。また、かぜのような症状が続くようなら、病院を受診しましょう。他の人へ感染を防ぐため、早期発見、早期治療が重要です。
その他、免疫力が低下しないように栄養バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動等、規則正しい生活を心がけることも大切です。なお、結核菌は、紫外線に弱く、体外に排出された菌は日光に当たると数時間で死滅します。
結核の発生動向
高知県の結核対策
高知県結核予防計画ー第4次高知県結核根絶計画ーとは
高知県では、結核に関する特定感染症予防指針(平成19年3月30日厚生労働省告示第72号、平成28年11月25日一部改正(以下「指針」という。)に即して、平成29年3月に高知県結核予防計画‐第4次高知県結核根絶計画‐を策定しました。
この計画は、第3次高知県結核根絶計画(平成23年9月策定)に基づく取り組みの成果を踏まえ、結核対策を総合的に推進することにより、結核感染の連鎖を断ち切り、今結核と闘っている人々が全員治療を完了され、本県から一日も早く結核が根絶されることを目標に策定したものです。
高知県結核予防計画―第4次高知県結核根絶計画―[PDF:967KB]
高知県DOTS実施要領とは
高知県では、「結核患者に対するDOTS(直接服薬確認療法)の推進について」(平成28年11月25日厚生労働省健康局結核感染症課)の一部改正を踏まえ、高知県DOTD実施要領を作成しました。この実施要領は、感染症法第53条の14及び第53条の15に基づき、結核患者が確実に抗結核薬を服用することで結核治療を完了し、結核のまん延を防止するとともに、再発及び多剤耐性結核の発生予防を目的としています。
服薬継続リスクアセスメント及び個別患者支援計画(様式24) [XLS:51KB]
結核の発生届・入院・退院届について(医療機関の方へ)
結核発生届について
結核(二類感染症)の発生届は、感染症法第12条により、医師による届出が義務付けられています。
結核と診断したときは、直ちに患者の居住地の管轄する保健所に電話連絡し、「結核発生届」をFAXしてください。
医療機関からの迅速な届出をいただくことにより、保健所の結核対策は円滑に進みますので、ご協力をお願いします。
入院・退院届について
結核の患者が入院又は退院したときは、感染症法第53条11により病院の管理者による届出が義務付けられています。
結核患者が入院又は退院したときは、7日以内に保健所へ「入院・退院届」を提出してください。
届け出方法及び様式等
届出先や届出方法については、以下をご参照ください。
届け出方法等[PDF:220KB] 届け出基準[PDF:113KB] 保健所の連絡先[PDF:32KB]
※結核発生届は、診断後直ちにとなっていますので、診断した当日中の届け出をお願いします。
結核医療費公費負担制度
感染症法では、医師の診断に基づく患者又は保護者からの申請に対して、その治療等の内容が適正であれば、医療費を公費負担できます。
公費負担を希望される方は、下記の申請書を患者の居住地を管轄する保健所に提出していただき、「感染症診査協議会」の意見を踏まえて公費負担が決定されます。
公費負担は、各種医療保険を適用後の医療費の自己負担分について適用され、その目的に応じて、次の2つに区分されます。
◆一般の結核患者の医療費公費負担(法第37条の2)
結核の「適正医療」の普及を図るとともに、長期の服薬を余儀なくされる患者の経済的な負担を軽減し、療養意欲を維持増進することを目的とした医療です。結核医療費の最終的な自己負担額が5%になるように公費負担されます。
公費負担の適用は、原則として保健所が申請を受理した日からとなりますので、患者負担の軽減のため、診断後は、迅速な手続きをお願いします。
手続き方法は、お住まいの市町村を管轄する保健所へ次の書類を提出してください。
・結核医療費公費負担申請書(様式34)[XLS:330KB]
・申請前3カ月以内に撮影したエックス線写真
◆入院勧告(措置)患者の医療費公費負担(法第37条)
都道府県知事は、周囲への感染防止を目的として、入院による治療を勧告することができます。この時、診断後の結核治療や検査に係る医療費(保健適用後の自己負担分)が公費負担されます。(高額者所得では、一部負担あり。)
原則、排菌があって、入院している患者が対象です。
手続き方法は、お住まいの市町村を管轄する保健所に以下の書類を提出してください。
・新規の場合:結核医療費公費負担申請書(様式34)[XLS:330KB] 及びエックス線写真
・継続申請の場合: 感染症患者医療費公費負担申請書(様式35)[XLS:37KB] 及び
結核入院患者に係る病状報告書(様式36)[XLS:23KB]
その他、公費負担の申請する場合はに以下の書類の提出を求める場合がありますので、その都度、保健所にご相談ください。
結核定期健康診断年報
感染症法により、事業者又は施設の長は、業務に従事している者に対して定期の健康診断を実施し(第53条の2)、管轄の保健所に報告することになっています(第53条の7)。
高知県庁から毎年2月末頃に報告様式等を送付させていただきますので、管轄の保健所に提出していただきますようお願いします。(高知市が所在地の場合は、高知市保健所にお問い合わせください)
法律の内容及び記載については、以下を参照してください。
事業者用(病院、診療所、助産所、老人保健施設、介護医療院) 様式1-1[XLS:103KB]
学校用 様式1-2[XLS:96KB]
施設用 様式1-3[XLS:103KB]
市町村用様式1-4[XLS:99KB]
結核指定医療機関
高知県内の結核病床を有する医療機関
病院名 |
電話番号(代表) |
独立行政法人 国立病院機構高知病院 |
088-844-3111 |
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター |
088-837-3000 |
高知県立あき総合病院 |
0887-34-3111 |
高知県立幡多けんみん病院 |
0880-66-2222 |
結核指定医療機関について
指定医療機関は、感染症法による公費負担患者の医療を担当する機関です。
指定医療機関には、病院、診療所、薬局があります。
指定医療機関でないと、原則として、結核公費負担医療を行うことができません。
申請届、変更届、辞退届については、以下の内容に基づき管轄の保健所に提出してください。
結核指定医療機関の申請について
結核指定医療機関としての指定を受ける場合は、医療機関の所在地を管轄する保健所に申請書を提出してください。
申請を受けて指定した場合は、医療機関に結核指定医療機関指定書を交付します。指定書に記載された日付が結核指定医療機関となった日(指定日)となり、公費負担の結核医療は、指定日以降でなければ対象となりません。
指定後の辞退や変更について
指定を辞退する場合や申請内容に変更があった場合は、以下の内容に注意して保健所に提出してください。
1 辞退は、辞退しようとする日の30日前までに「結核指定医療機関辞退届」を医療機関所在地を管轄する保健所に提出してください。
2 次のいずれかに該当する場合は、開設者は「結核指定医療機関辞退届」及び「結核指定医療機関指定申請書」を、医療機関所在地を管轄する保健所へ提出してください。
(1)開設者変更となった場合
ア 開設者が施設を他人に譲渡したとき
イ 開設者が法人の場合、法の法人に合併されたときあるいは新たに法人となったとき
(2)開設者が法人から個人に又は個人から法人になった場合
(3)診療所を病院に又は病院を診療所に変更した場合
(4)指定医療機関又は事務所が移転する場合
3 次のいずれかに該当する場合は、開設者は「結核指定医療機関変更届」を、医療機関所在地を管轄する保健所へ提出してください。この変更届に基づく指定書の書き換えや新たな指定書の発行は行いませんので、引き続き、指定書を保管してください。
ア 指定医療機関の名称を変更した場合
イ 所在表示の変更により指定医療機関の所在地名にの呼称及び地番に変更があった場合
ウ 婚姻、養子縁組及び法人の名称変更等により開設者名に変更があった場合
エ 開設者の住所に変更があった場合
結核指定医療機関辞退(廃止)届書(様式72)[DOC:15KB]
結核指定医療機関変更届書(様式73)[DOC:16.5KB]
結核健康診断補助金について
感染症法第53条の2第1項の規定に基づき高知県内のの私立学校又は施設の長が行う結核の定期健康診断に要する費用の一部を感染症法第60条の規定に基づき高知県が補助する制度です。(所在地が高知市の場合は高知市保健所にお問い合わせください。)
補助金の交付を受けるには、保健所へ申請及び実績報告をする必要があります。
なお、対象となる施設へは、毎年3月末に通知文とともに要綱等の申請様式・報告様式を送付しています。要綱に従い提出をお願いします。
要綱及び様式などは、下記のアドレスにありますので、ご活用ください。
結核のチラシ
関連サイト
・厚生労働省(結核のページ) http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html
・公益財団法人結核予防会 http://www.jatahq.org/
・公益財団法人結核予防会結核研究所 http://www.jata.or.jp/
この記事に関するお問い合わせ
所在地: | 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号 | |
電話: | がん・企画担当 | 088-823-9674 |
難病担当 | 088-823-9678 088-823-9684 |
|
感染症担当 | 088-823-9677 | |
新興感染症担当 | 088-823-9092 | |
ファックス: | 088-873-9941 | |
メール: | 130401@ken.pref.kochi.lg.jp |
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