2.これまでの農業農村整備事業の実績と評価 1)

公開日 2009年03月18日

更新日 2014年03月16日


1)農地の整備


事業の目的と内容

  •  ほ場整備に代表される農地の整備は、農作業の機械化・効率化による労働時間の短縮、生産コストの低減とともに、農地の汎用化による水田の畑作利用を可能とするうえで欠くことのできない条件整備です。
  •  狭小、不整形な農地を整形、拡大し、農道や用・排水路を整備することにより、農作業の機械化・効率化を可能とし、労働時間の短縮、生産コストの低減を図ります。
  •  排水条件を改善して水田の汎用化を促進し、園芸農業の導入など水田の高度利用を推進します。
  •  ほ場整備を契機として、農地の所有・利用にかかる権利を、意欲と能力のある担い手や集落営農組織に集積し、農業構造の改善を促進します。

これまでの取り組みの成果

  •  本県では、昭和42年度に香南市(旧香我美町)「香我美」地区で県下第一号の県営ほ場整備事業に着手して以降、県営や団体営など様々な事業でほ場整備に取り組み、平成17年度末時点の水田の整備済み面積は9,767ha、全水田面積に対する整備率では44.9%となっています。(全国平均:60.1%(H14))  農地の整形化、区画の拡大や農道の整備により、稲作の労働時間は10アールあたり51時間から21時間に約6割短縮され、水稲の生産コストは156千円から103千円へ約3割低減されました。(農林水産省調べ)

  •  また、排水条件の改善により水田の高度利用が可能となったことから、多くの地区で施設園芸や露地野菜が導入され本県の園芸農業を支えてきました。(下記地区事例参照)
  • 平成5年度からはこうした条件整備に加えて、認定農業者等担い手の育成を目的とした担い手育成基盤整備事業(平成15年度からは経営体育成基盤整備事業)が創設され、平成17年度末までに完了した16地区(904ha)において、認定農業者169名が増加するとともに、23の生産組織が設立され、担い手への農地の集積により効率的な営農が行われています。
    {担い手の経営面積シェア:11.8% ⇒ 34.1% (+22.3ポイント)}
  •  さらに、ほ場整備の副次的な効果として、平成16年度以降に事後評価を実施した15地区の実態調査によれば、耕作放棄地率は県平均の13.2%に比べ1.5%と耕作放棄地の発生が抑制されています。

地区事例

  • 芸西村では昭和48年の県営ほ場整備の導入以降、生産性が向上し現在では施設のなす、ピーマンは県内第2位の産地となっています。またこれに伴い10アールあたりの生産農業所得が向上し、近年の農産物価格の低迷などから一時期ほどでないものの、平成17年時点でも県平均の2.6倍と高い生産性を維持しています。(芸西村:342千円、県平均:131千円)
  •  須崎市中氏地区では平成9年度からのほ場整備を契機に、ハウス面積が約1.5倍に増加(10.5ha⇒15.4ha)してミョウガが導入され、それまでのきゅうり、ししとう主体から、ミョウガ主体へと転換され、現在は県内有数の優良産地となっています。また認定農業者も3人から41人に大幅増となっています。
施設園芸作物の生産量等
きゅうり ししとう ミョウガ 花卉類 ハウス面積 認定農業者 販売額(※)
平成9年園芸年度 775t 214t 10.5ha 3人 6億3千万円
平成16年園芸年度 196t 35t 455t 156万本 15.4ha 41人 9億4千万円

 ※現地調査による品目別作付面積をもとに、農産物統計による須崎市の平均反収とJA土佐くろしお須崎支所の平均単価から推定した参考値

  

評価と課題

  •  区画形状や排水条件など農地の物理的な条件が改善され、畑作も可能な約1万ヘクタールの優良農地を確保してきたことは、本県の農業を振興していくうえで大きな財産です。特に、ほ場整備を契機に施設園芸など有利作物が導入された地域では、整備前と比べて農業産出額の飛躍的な伸びに繋がっています。
  •  また、平成18年12月末現在で県内には66の集落営農組織がありますが、そのうち61組織は基盤整備が終了しており、基盤整備が集落営農活動につながっていることも窺えます。
  •  一方、ほ場整備終了後でも水稲中心の作付け体系のため、ほ場整備導入前と比べて農業産出額にほとんど変化が見られない地区や、野菜の導入は図られつつあるが計画どおりに進んでない地区も見受けられます。
  •  本県のほ場整備率は、全国平均から15ポイント以上低い水準にありますが、今後は整備率にとらわれることなく、農業振興を図る上で、より効果の高い地区を優先的に実施していかなければなりません。
  •  そのためには、農家への意向調査等に基づいた実現可能で効果の高い営農計画や育成すべき担い手の増加目標、また担い手への農地の集積目標などのアウトカム指標を設定し、事業実施中の指導はもとより、実施後の評価・フォローアップを行うという、現在の取り組みを一層進めていく必要があります。


この記事に関するお問い合わせ

高知県 農業振興部 農業基盤課

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