2.これまでの農業農村整備事業の実績と評価 4)

公開日 2009年03月18日

更新日 2014年03月16日


4)農地の保全と防災対策


(1)地すべり対策

事業の目的と内容

  • 本県の中央部から北部山間地にかけては、広く破砕帯地すべり地帯に属しており、「地すべり等防止法」により県知事の管理が規定された多くの地すべり指定地があります。
  • 地すべり対策事業は、こうした指定地における地すべり災害を未然に防止することにより、地域住民の生命・財産を守るとともに、農業生産の維持及び農業経営の安定化並びに国土の保全に資するために、地すべり防止施設の整備を行うものです。

 
これまでの取り組みの成果

  •  四国には、北から順に「中央構造線」、「御荷鉾構造線」、「仏像構造線」の3本の構造線が走っており、高知県中央部から北部山間地にかけての中山間地域は、この構造線の構造運動の強い影響を受け地層が脆弱となった「破砕帯地すべり」地域にその多くが属しています。県内には3省(国土交通省、農林水産省、林野庁)合わせて193カ所(12,143ha)の地すべり指定地があります。
  • 農業基盤課では昭和37年以来、55の指定地(3,032ha)で県営地すべり対策に取り組み、うち51指定地は平成17年度末時点で一期対策は終了しています。残り4指定地については、国営直轄事業(大豊町高知三波川帯地区と仁淀川町高瀬地区)で対策工事を継続中です。
     【地区事例】
    ◆ 本山町の本山古田地区では昭和49年度から平成8年度まで指定面積132haにおいて、承・排水路工や排水ボーリングなどの対策工事を実施しました。対策完了後の定住率は町平均をやや上回る程度ですが、農家の減少率は大きく押さえられ、専業農家は逆に増加しています。またこれに伴い、販売農家における経営耕地面積は、完了直後に比べて増加しています。
    世帯数、人口及び農家戸数の推移
    地区 調査年 世帯数 増減率 人口 増減率 農家数 増減率 専業農家
    本山古田 平成7年 43 100% 136 100% 26 100% 4
    平成17年 45 105% 122 90% 22 85% 10
    本山町 平成7年 2,017 100% 4,868 100% 446 100% 118
    平成17年 1,931 96% 4,266 88% 198 44% 55

    販売農家における経営耕地面積の推移
    地区 調査年 樹園地 耕地計 増減率
    本山古田 平成7年 3,616 142 55 3,813 100%
    平成17年 3,974 115 34 4,123 108%
    本山町 平成7年 22,191 3,574 1,080 26,845

    100%

    平成17年 17,253 1,416 641 19,310 72%

 
評価と課題

  • 地すべり対策事業は、地すべり指定地における地すべり災害を未然に防止することにより、地域住民の生命・財産を守るとともに、農業生産の維持及び農業経営の安定化並びに国土の保全に資するために実施するものです。
  •  これまでの一期対策により、指定区域内での地すべり現象は一定沈静化し、地域の保全に効果を発揮していると考えられることから、地すべり対策の必要性、有効性は十分に認められます。
  •  一方、一期対策を終了している指定地の一部で、平成16年の集中豪雨等をきっかけにした地すべり現象の兆候が確認されていますが、対策工事には多額の事業費を必要とすることから、想定被害の大きさや緊急性を的確に判断しながら計画的に取り組んでいく必要があります。
  •  このため市町村と共同で実施している防災点検をいっそう強化するとともに、危険性を客観的に評価する仕組みを構築し、計画的に対策工事に取り組んでいくことが必要です。
  • また現在実施している直轄地すべり事業については、先行して実施している抑制工の効果を適切に評価することで安全性が確認できる場合は、抑止工の計画の見直し等により事業費の低減を図るとともに、早期完了に繋げていくことが大切です。
      

(2)老朽ため池の整備

事業の目的と内容

  • 老朽ため池の整備は、決壊による災害の発生を未然に防止し、ため池の持つ機能を回復することによって、農業生産の維持・農業経営の安定を図るとともに、地域住民の生命・財産を守り、県土の保全と県民生活の安定に資するものです。

 
これまでの取り組みの成果

  • 現在、県下の農業用ため池は417箇所(平成17年度末現在)あります。
    そのうち、一定規模(貯水量1,000m3)以上のため池は282箇所ですが、緊急な整備を要するため池について、ため池等整備事業等で順次整備を進め、平成17年度末までに67箇所の整備が完了し、地域の安全確保や用水の安定供給による農業生産の維持と農業経営の安定に寄与しています。


評価と課題

  • 農業用ため池は、かんがい用水の水源として重要な役割を担っていますが、老朽化し漏水等が増加したため池は、決壊の危険性を孕んだものとなり、農村地域への定住促進を図るうえでの障害になるとともに、本来の農業用水源としての機能も損なわれています。
  •  これまで67箇所の老朽ため池で対策が講じられ、漏水等の危険な兆候が見られなくなっていることから、確実に安全性は向上し災害の発生が未然に防止されるとともに、農業用水施設としての機能が回復され、本事業の必要性・有効性は十分に認められます。
  •  一方、県内の貯水量1,000m3以上のため池282箇所のうち改修が終了したため池は67箇所にしか過ぎず、未改修のため池215箇所のうち208箇所で築造後50年以上が経過しており、今後においてもこうした老朽ため池の改修は大きな課題です。
  •  しかしながら、対策工事には多額の事業費を必要とすることから、想定被害の大きさや漏水量の増加、施設の老朽度などの危険性を客観的に評価する仕組みを構築し、計画的に対策工事に取り組んでいくことが必要です

この記事に関するお問い合わせ

高知県 農業振興部 農業基盤課

所在地: 〒780-0850 高知県高知市丸ノ内1丁目7番52号(西庁舎3階)
電話: 総務担当 088-821-4561
管理担当 088-821-4556
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農地調整担当 088-821-4515
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