第3回「対話と実行座談会」(「地域での支え合いの取組」への支援について)を開催します

公開日 2013年03月12日

更新日 2014年03月16日

平成24年度 第3回「対話と実行座談会」

座談会要旨

1 開会
2 知事のあいさつ
  (1)「対話と実行」について
  (2)高知型福祉について
3 出席者からの活動内容発表
  (1)生活支援サポーター養成研修の取組
  (2)生活支援サポーター(仁井田倶楽部)の活動報告
  (3)子育て支援ネットワークの立ち上げと運営に対する地域コーディネーターの関わり
  (4)子育て支援サークルの支援について
  (5)徘徊模擬訓練、認知症の人と家族の会「さくらの会」について
  (6)「地域で支え合いの取組」への支援について(馬路村) 
  (7)小地域ケア会議の実施による地域での支え合いの仕組みづくり(西土佐地区)
4 会場からの質問等
5 知事まとめ
6 閉会



1.開会
(司会)
 平成24年度「第3回対話と実行座談会」を開催します。
 本年度は、県の進めている政策の中から、4つのテーマを設定いたしまして、座談会を開催させていただくこととしており、本日はその第3回目の「対話と実行座談会」となります。
 参加者の皆さん、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

このあと、要約筆記(聞こえの不自由な方にその場で音声を文字にして伝える活動)の実施について説明が行われました。

2.知事のあいさつ

(1)「対話と実行」について
(知事)
 本日は、大変ご多忙の中、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。「対話と実行座談会」ですが、平成20年度から実施しており、4年間で65回実施させていただき、いろいろなご知恵や、地域の実情を教えていただいたりしたところです。
 今年度から少し趣向を変え、「対話と実行行脚」という、1市町村を1日かけてお伺いをしていろんなところを勉強させていただく取組をさせていただいており、4月から10市町村にお伺いをさせていただいています。
これに併せて、こういう座談会方式も、テーマを絞った形で実施させていただいて、県内でいろいろ先達的な取組をしておられる方のお話を聞かせていただいています。また、皆さん県内全域から集まっていただくことで、お互いいろいろと情報共有していただくことも有意義だという思いもあり、開催させていただいております。

(2)高知型福祉について
(知事)
 高知県が現在抱えている課題として、まず、南海トラフ巨大地震対策を進めていくということは言うまでもありませんが、もう1つ非常に厳しい課題として、人口減少と高齢化が急激に進んでいるということが挙げられると思います。
 本県の場合、人口が自然減状態に陥ったのは平成2年からで、全国に先行して15年前から人口減少が進んでいます。若い人が出て行くから人口が減るといわれますが、実際には、圧倒的に高齢者の方々の人口が多いので、年を追うにつれ、だんだんと人口が減っていくということがあります。もう1つ、働く年代の人でも、年齢が上の方の人口が多く、どんどん働く人の数が減るということが出てきているということです。
 高齢化率については、全国に10年先行して高齢化が進んでいる状況にあります。この状況がどういうことを引き起こすか。1つは経済がどんどん縮んでいく現象が現れています。これに何とか対抗していこうとするのが、産業振興計画です。足元の経済が縮む分、外に打って出て、外貨を稼ぐ、地産外商を進めることを徹底してやろうとしているところです。
 もう1つは、保健・医療・福祉の分野。特に過疎地域、中山間地域における福祉については、本当に厳しいものとなっています。過去においては、地縁、血縁によって支えられていた多くのことが、今はなかなか成り立たなくなってきています。それらの課題をどうしていくか。意図的、政策的に地域での支えあいの力をつくることを目指しているのが、日本一の健康長寿県構想の、「高知型福祉」の取組です。
 例えば、あったかふれあいセンターが代表的な取組ですが、今、県内で35か所、サテライトも入れると約150か所で取り組んでいただいており、皆さんにも大変ご尽力いただいています。あったかふれあいセンターを作っていくことで支え合いの力を作る、これを今後、地域福祉計画の策定と並行していきながら強化していきたいと思っています。
 そしてもう1つは、本県は非常に過疎地域が多いということもあり、残念ながら国の制度サービスではなかなか対応できない状況がたくさんあります。国からの補助金が得られないならば、県独自の事業としてやっていこうじゃないかということです。
 実は、あったかふれあいセンターも厚生労働省から補助金を得ることができるものではなく、雇用関係の基金で取組を進めていたわけですが、それもなくなりましたので、県単独で今後も実施していこうとしているわけです。
 過疎化・高齢化が進んでいく高知県において、どのような福祉の対応、雇用追求をしていかないといけないのかについて、皆様方は、さまざまな活動の中心を担われる方々として、多くの先進的な取組をしておられます。
 日本一の健康長寿県構想、産業振興計画もそうですが、毎年改定、改善をしています。今日、いろいろお話をお伺いさせていただき、何が足りないか、まだもっとこういうことをやらないといけないんじゃないか、そういうことを学ばせていただきたいと思っています。

 このあと、本日の出席者の紹介を行いました。

3.出席者から活動内容発表

(1)生活支援サポーター養成研修の取組
(参加者A)
 四万十町は平成18年3月に合併して、県内で最も広い面積を持つ町となりました。四万十町社協としては、地域の現状と課題を知るため、各地域で住民座談会を開催しました。
 地域の課題はさまざまですが、病院を退院する高齢者が在宅生活を希望しても、隣近所が離れている、家の中の段差が多いといったことや、交通の問題などにより住み慣れた我が家に帰れない。また、介護は必要としなくても、自家用車を持たない独り暮らしの高齢者や高齢夫婦のみの世帯も増加しており、日常生活のちょっとした困りごと、例えば買い物やゴミ出し、庭の手入れなど手助けの必要な高齢者が増加しており、介護保険やその他のサービスだけでは地域での生活を支えあうことが困難になってきているのが現状です。
 新たな地域での支えあいの仕組みがますます必要になっていると感じました。
 そうした中、平成20年度に県から全国社会福祉協議会モデル事業である、「生活支援サポーター養成研修」のお話をいただきました。
 受託するかどうか職員で協議をする中で、地域課題解決、地域の問題解決の1つの方法として取組が継続できるのではないか、そして地域の皆さんが自分の住んでいる地域のことを考え、自分たちで何とかしなければという思いを持ってもらえるきっかけになるのではという期待もあり、平成21年度からこのモデル事業を始めました。
 四万十町で養成するサポーターは、地域の支えあい活動の担い手として、まずは住んでいる地域の状況、現状や地域資源、地域の活動、そして介護保険、その他の制度や施策などを知ること。そして、単に活動の担い手と捉えるのではなく、自分の興味のある分野で、自分の得意なことを活かして地域の助け合い活動に参加し、支援を必要とする高齢者の生活を支え、その活動がサポーター自身にとっても自己実現、生き甲斐につながるように、その経験や知識を活かし、地域での支えあいやボランティア活動の主体となることが期待され、サポーターとして活躍することが、自身の介護予防につながると考えました。
 研修内容は、地域のこと、自分のこと、みんなのことを話し、共有、共感する場とし、また、現在では認知症サポーターなどもこの研修の中で養成することとしています。
 1年間だけの取組にはしたくなかったので、できるだけお金をかけずに実施し、講師には地元の福祉関係機関や行政職員、そして社協職員も関わってもらいました。
 研修で大事にしてきたことは、5年後、10年後に、地域がどうなっているかをイメージしてもらえるような内容にすることでした。地域の現状を知って、学んで、地域の良さ、課題を参加者全員で共有する、そして地域でできること、自分たちでできることをみんなで考え、実践につながるきっかけ作りになるように、という思いで開催しました。地域は家族といったようなイメージで、小学校区で生活支援サポーター養成研修を実施しています。
 研修は、地域への思いを共有、共感する場として、毎回グループワークを行いました。
 最初は、グループワークも慣れてなくて、「こんなことするんだったら、私ら来ない」みたいなことも言われましたが、回を重ねるごとに住民の皆さん自らがマイクを持って発表したいといったような状況で、地域に対して熱い思いを持っていることを感じました。
 参加者の感想ですが、「こういった事業を通じて地域のことを考えるきっかけになった」、「地域のつながりの希薄化を感じる」、「こういった研修は必要だ」といった声もありました。
 また「老後への不安はあるものの、いかに自分がサポートする側でいられるかといったことが大事だ」というような感想もいただいています。また、「役場職員や社協職員とつながりが持ててよかった」といった嬉しいお声もいただいています。
 研修後の地域活動の事例として、少しご紹介をします。影野小学校区、これは最初にモデル事業にあったところですが、ここは地域の敬老会ができなくなっており、それをサポーターが中心になってみんなで復活させようということで、校区全体の敬老会を実施しました。
 活動はあくまでも個人の活動が主体となっていますが、こういったサポーターを中心とした地域活動も広まっています。
下津井での活動は、「下津井いきいきやる鹿な猪」。ネーミングを見ていただいたら、大変面白いと思いますが、鹿と猪が入っています。これは研修時の地域の目標ということで、みんなで活き活きやるしかないんじゃないかということで、こういうネーミングがつきました。季節ごとに廃校となった学校を利用してバイキングを実施をしています。
 そして大奈路小学校区の大奈路地区では、2ヶ月に1回「ふれあいモーニングサロン」ということで、サポーターが中心となって地域の集まりを行っています。
 仁井田小学校区では、老人クラブの活動が大変低迷しており、最近ではクラブ数も減ってきています。その仁井田地区で老人クラブを何とか復活したいということですが、老人クラブだけの活動ではなく、それを地域活動母体として、地域全体での取組の動きが始まっています。
 この研修を通じた課題として、個人の活動や生活支援サポーターが中心となった地域活動への継続支援、フォローアップ研修などが、今後ますます重要になってくるのではないかと思います。
 また、活動につながっていない地域へアプローチをして、この研修につなげたいと考え、全地区で座談会を行いましたが、まだ活動につながっていない地域への再アタックなどが課題となっています。また、サポーターの役割や位置付けの明確化や、組織化、連携の仕組みを検討していかなければならないと考えています。
 今後の取組としては、高齢化は進んでも一人ひとりに役割があって、元気な地域を作っていきたい。区長、民生委員児童委員、生活支援サポーターなど多くの人の見守りや支えあいにより安心して暮らせる地域を作りたい。そのためにもこの「生活支援サポーター養成研修」を四万十町の全域で開催し、町民みんながサポーターとなるよう社協の重点事業として進めていきたいと思っています。
 平成22年1月に四万十町地域福祉活動計画が策定されました。その基本目標である「地域は家族、笑顔で暮らせる四万十町」を目指して小地域ごとの活動計画を策定し、新たな支えあいの仕組みづくりに各関係機関と連携をとりながら、四万十町で暮らしてよかったと思える町を地域の皆さんと作っていきたいと考えています。

(2)生活支援サポーター(仁井田倶楽部)の活動報告
(参加者B)
 私たちは四万十町社協が開催した平成23年2月からの「生活支援サポーター研修」に参加しました。6回の研修を受け、地区ごとの班で地域支援プランを作成しました。
 研修終了後、1週間、2週間経っても地区から何の動きも見られず、取り組みたいプランを作成しながら、「絵に描いた餅かな」と思いましたが、せっかく社協が仁井田地区を耕し、種まで蒔いてくれたのだから、地域が、地域力で育て、花を咲かせ、実をつけることをしなければならないと思いました。
 各地区のプランを実現するためには、核となる組織が必要と考え、仁井田地区全体で老人クラブの組織化をしたいと社協に相談しました。賛同者を募り、実行委員会を作って取り組んだらどうかとのアドバイスをいただき、サポーター研修参加者の中で熱意のある人に声を掛け、実行委員会を立ち上げ、委員が直接声掛けをして会員を募りました。40代、50代の賛同者もあります。地域活動母体「仁井田倶楽部」として暫定的に活動がスタートしました。
 今の目標として、まず自分たちが楽しむこと。2つ目として無理なく継続的に事業に取り組むということ。3番目として、老人の希望を取り入れること。4番目としてボランティア活動に取り組むこと。以上の4点を考えて行動しています。来年3月には設立総会を開き、正式に発足する予定です。
 近年、住民同士のつながりが希薄化しつつある地域ですが、地域の支えあい、助け合いの中から地域のつながりを構築し、「仁井田の年寄りは元気だな」と言われる地域にしたいです。この研修を受講した者としては、地域おこし、地域の活性化のためにも、生活支援サポーター研修は各地区で行っていただきたいと思います。

(知事) 
 ありがとうございました。
 私、影野の小学校の運動会とか、ふれあい祭りに行かせていただいたんですが、本当に皆さん喜んでおられましたよね。子供たちがまず一芸を披露して、本当に活発にやっておられましたが、あれはサポーターの皆さんがやられていたのですね。

(参加者A)
 はい。まずサポーターさんですが、区長さん全員を巻き込んで、それから民生委員・児童委員さんも全員巻き込んで実行委員会を立ち上げて、何度も話し合いをしました。

(知事)
 先ほどから、お話を伺っていて思うのは、いわゆる福祉という分野をちょっと超えた部分まで展開をしていかれて、「賑わいの創出」というか、生活全般に及ぶような形で取組しておられるなという気がして、仁井田倶楽部なんかも福祉に留まらず、こういった地域を元気にしようといったことも視野に入れてやっていこうとされているのでしょうね。

(参加者B)
 はい。昔は地区民運動会とか盆踊りとか、仁井田小学校区でもやっていたけれども、今もう廃れて20年ぐらいになります。サポーター研修では3つの班から地区民運動会をやりたいということが出まして、あとは小旅行をしたいとか、敬老会をやりたいといった意見が出ましたが、自分は当初から老人クラブ復活ということをテーマに考えて、このサポーター研修に参加しています。

(知事)
 1つご紹介と、ご質問をさせていただきたいんですが、まずご紹介は、県で今年の4月から始めている事業の1つに、いわゆる中山間対策を抜本強化するため、集落活動センターを立ち上げようという取組を進めさせていただいています。実は、今日の資料を見させていただいたとき、Aさんのところでやっておられる取組と似ていると思ったんです。これも旧小学校区単位を視野に入れていきながら、それこそ旧小学校の廃校跡地なんかそのまま集落活動センターとして使っていくことができないだろうかということを、今計画しているところです。
 全ての集落を元気にということはなかなか難しくても、複数集落の中に1か所非常に元気な拠点があると、その元気さがそれぞれの集落を支えるようになることはできないだろうか。小学校というのは、それぞれ教室がありますから、拠点施設としての使い勝手がなかなか良くて、その教室の1つで、例えばあったかふれあいセンターをやってもらって、その隣に、より元気な高齢者の皆さんが、あったかふれあいセンターへ来られている皆さんたちのお弁当を作ることをやられたり、ちょっとした特産品開発をされて、それを道の駅で売るといった活動をされたり、運動場に救命救急用のドクターヘリが停まれるようなヘリポートを作って、救命救急の拠点にするとか、オレオレ詐欺対策などの研修を行う場にするとか、いろんな検診を受けるとか、共同で買い物支援したりするなど、いろんな福祉の関係とか、産業おこしにもつながるような拠点として使っていけないだろうかということをやろうとしていまして、今、土佐町の石原と、本山町汗見川の2ヵ所で立ち上がったところです。
 県内に10年間で130ヶ所、そういうところを作っていきたいと考えており、さらにそういう取組をサポートする若者を「高知ふるさと応援隊」ということで、延べ1000人ぐらい、この10年で雇っていくことができないだろうかということを考えています。
 小学校区単位で地域地域の特性によって、福祉の取組を重点的にやっていきながらも、いろいろ取組を進めていくと、賑わいや、もっと言えば「元気にやっていこうじゃないか」という話になってきたり、もう一段さらに踏み込んで「イベントをやってみよう」という話になったり、さらには特産品作ってみようかなとか、梅干しでも作るかとか、薬草で何かやるか、そんなような話も出て来るんじゃないかと、そういう取組をしているところです。
 四万十町でも展開されていくことになると思います。是非、いろいろアドバイスをいただきますようよろしくお願いします。
 質問させていただきたいことは、Bさんの言われた「絵に描いた餅にしてはいけない」という話。私もそれ大好きで、いろんな計画を作ったとしても、「絵に描いた餅になったら絶対いけない」ということを徹底してやってきたところですが、取り組みを広げていくということは大変でしたでしょう。いろんな方々を仲間に巻き込んでいくにあたって、どういうところが大事なのか、何かありますか。もっといえばつながらない地域をつなぐために、今後どうやっていこうと思っているのかにかかってくるのではと思うのですが。

(参加者A)
 モデル地区で取り組んだ影野小学校区も、「こういう目的でこういう事業をやりますので、参加者を募ってください」と区長さんに1軒1軒お話に回りました。でも、募集をかけても全く受講者がいない地区もありました。しかし、社協としては、全地区から1人でも2人でも来てもらいたいという思いがあって、再度声かけをして、何とか全地区から参加者を募ることができました。
 こんな難しい研修に地域の人が来てくれるんだろうかという内心不安がありましたが、1回目で、地区ごとのグループワークをしました。すると地区によって人数が違うんです。6人いるところもあれば、2人のところもある。これはダメだということで、次のときには、人をひっぱってくる。あそこの地区に負けたらダメだから、近所の人を引っぱってきてくれるといったようなことで、最終的には本当に人数が多くなったということもありますし、やはりそれでも影野という地区は昔からつながりの強い地区で、いろんなイベントなんかも地区でやっていましたので、つながりが大きいんですが、仁井田地区も大変人数が多くて、非常に熱気のあるグループワークが行われました。
 地域の人は、普段顔合わせているように見えて、顔を合わせていない。だから集まって自分たちの地域のことを話すことが非常に楽しかった様で、1つのやり方としては、そういったグループワークをやるのはいいことかなと思いました。

(参加者B)
 自分もその実行委員会を立ち上げたときに、1回、2回のうちは参加者も多かったのですが、3回、4回となるとやっぱり人数がだんだん減ってきました。そこで、ちょうど10月でしたので、「お月見会をやろう」と。「料理とお酒は持ち寄りだよ」と。言い出してから2週間で実行しました。それで、30人ぐらい来てくれるかなという感じで会場も設営したところ、70人余りの人が来まして、それであくる日はお年寄りが喜びまして、スーパーなんかで会ったら、「お金もいるけどまたやってください」という声が方々から挙がりまして、なかなか反響がよかったんです。
 結局、自分が思うのには、ただ、話だけじゃなく、何かインパクトのあるイベントをやらないと、人というものは出てこなくなる。ましてお酒がある会だったら男性が出てきてくれますから、「呑みにケーション」も必要じゃないのかなとは思います。

(知事)
 ありがとうございます。
 生活支援サポーターの取組のお話を伺いながら、「福祉からいろいろな地域の活性化に」という方向性というのはなるほどと思いましたし、集落活動センター等をこれから進めていくにあたっても、そういう方向感なども大いに参考にさせていただきたいと思います。

(3)子育て支援ネットワークの立ち上げと運営に対する地域コーディネーターの関わり
(参加者C)
 今日は、子育て支援という限定された話だけではなく、いかに人が主体的にまちづくりや地域づくりに関わっていけるか、それにどういうふうに支援者が寄り添っていけるのかといった視点を持ちながら、お話をさせていただいたいと思っています。
 もともと個別の1件の相談への対応からボランティアグループの立ち上げにつなげた事例であると整理をしておりますが、子育て中のお母さんの生活にまつわる相談から、子育て支援ネットワーク「ろばみみ」という団体が立ち上がったという経緯があります。
 そもそも1件目の相談というのが、平成20年11月のことでした。もともと土佐山田には子育てサークル、育児サークル、お母さん方が乳幼児を連れて共に情報交換をしたり、子どもをあやしたりする場が10年以上前から展開されていたんですが、お世話役のTさんから、現役子育て中のお母さんからの悩みが最近非常に増えてきたと。不況の影響下で夫の賃金が減る、といったことで、専業主婦であるけれども、働きに出ないと家計がまわらない。でも、子どもが小さいうちは、なるべく家庭で育てたいという矛盾した悩みを先輩ママさんたちがよく聞くようになってきた時期です。
 そこでお母さん方が考えたのは、子どもを安全に遊ばせながら、お母さん同士で一緒に、ニラとかネギとかの束を輪ゴムで結ぶようなそういう内職をして収入を得たいが、そんなことができる場所を社協で貸してもらえないでしょうかという相談だったんです。
 この悩みに対して何かできないかという思いを持ったということが、きっかけでした。
 2つ目の相談は、それから2週間ほど後だったんですが、同じように育児サークルの世話役のSさんからでした。「Tさんが言うような就労の話って、ちょっとした小遣い稼ぎの話も含めて、自分たちの知ってる団体や人、情報がつながりあうことで、何か力が生まれるのではないかと考えているんです」ということで見せてくれたのが、彼女が手書きで一生懸命書いた図なんです。託児所とか、文化とか小学校とか、いろいろなボランティア団体とか、社協も中に入っているんですが、全て地域にある資源がつながることで、いろいろな活性化ができるんではないかということを彼女は一生懸命考えて、私に熱く語ってくれたんです。
 Tさん、Sさんの話を受けて、「ちょっと何人か、そういうまちづくり、仕事の関係とか興味のある方を呼んできてくれませんか。一緒に話し合いの場を持ちましょう」ということを提案しました。これは私一人で受けるには、少し荷が重そうだなという直観もありまして、県の地域支援企画員にも入ってもらい、「子育てしやすい、住みやすい町は皆さんにとってどんな町ですか」と、ホワイトボードに書いていきました。
 その中でいろいろな課題や、必要なこともたくさん出てきました。「こういうことを踏まえて、子育てしにくい問題をもっともっと出して、解決方法についてワークショップしてみましょうか」と若いお母さんたちに提案をしました。
 ワークショップを1月にしたのですが、みんなが一つになるようなキャッチフレーズが生まれました。「お母さんが元気だと子どもが元気、子どもが元気だと地域が元気」ということで、中でもいろんなやりたいこと、できそうなことのアイデアがたくさん出てきた中で、多様な活動をつなぐような拠点として、お母さんたちが集まって話し合いをするような場が必要だという考えが出てきました。
 次に、その拠点をどうやって作っていくのか、お母さんによってやりたい活動が違う場合もありますが、お互いがつながり合えるような拠点づくりがいるということで、最終的には子育て支援ネットワーク「ろばみみ」という団体名で中間的につなぐ仕組みを作っていくことにしました。
 最初に構想したのは、「ろばみみネットワーク会議」という座談会形式のものを定期的に開催し、皆さんがフラットに話し合いをしていくことでした。下に事務局を置いて、さまざまな無数の活動が生まれていくというようなイメージでスタートをしました。
 現在、月1回定例で活動しています。実は当初、これは私は誰かにつなぎたいということで、県の地域支援企画員や、平成21年4月にできた子育て支援センター「なかよし」に着任されたDさんも参加していただいております。
 事業内容もさまざまです。商店街の空き店舗を借りたカフェの経営や、畑を借りて無農薬の野菜の栽培も行っています。
 地域支援企画員さんが、このお母さん方の畑の有機農業の取組をふまえて、物部川の有機農業を推進する協議会のほうにお母さんたちをつなげたところ、意外なつながりが発見されました。実は、協議会では物部川流域にみんなが有機農業を取り組めるようにしたいというのをミッションとしていましたが、そのためには土壌の分析が必要で、県外の業者に出すと、1件当たり5千円とか6千円とか結構なお金がかかってしまう。ただこの分析については、簡単なキットがあって、これを使えば、材料費ぐらいで土壌分析ができる。お母さんたちの小遣い稼ぎとして、希望する農家さんの土壌分析をしてあげられないかという提案がありました。お母さんたちは、最初尻込みしたんですが、仲間のお母さんたちにこの話を提案したら、実は私、主婦になる前は環境計量士でしたとか、理系バリバリのお母さんが何人かいらして、是非やろうということで、それで大体年間150検体ぐらい扱っていて、年間、15万円ぐらいがお母さんたちの小遣い稼ぎになっているということです。
 私自身が感じていることですが、やはり最初はニラを束ねる場所がほしいだけだったんですが、そういった相談でも何か誠意を持って受け止めること、一機関だけで抱え込まないということが大事だなと。こちらが支援者がしてあげる、全部してあげるということじゃなくて、活動者の主体性に寄り添っていくこと、一緒に楽しみながら寄り添っていくことが大事だなと、そのようなことを感じているところです。

(4)子育て支援サークルの支援について
(参加者D)
 香美市役所の子育て支援センター「なかよし」のDと言います。よろしくお願いします。
 Cさんが発表された内容で、ちょうど「ろばみみ」ができた時に、子育て支援センターが香美市立でできたということで、その中の1つの仕事として、子育てサークルへの支援ということを開設当初から考えていましたところ、ちょうどCさんのほうからいいお話をいただきまして、一緒に活動をさせてもらっています。
 やはりサークル自身が、自立してできることが大事だとずっと思っていまして、最初に「ろばみみ」の代表の方から、「市役所の事業でお手伝いとかはないでしょうか」という相談もあったんですけど、行政がからむと、どうしても制約が多いし、自由なことができないような感じがありましたので、「自由にどんどんやられたらどうですか」ということをお話させてもらいました。
 一緒に話し合ったり、相談したりという間柄を作ることで、信頼関係を作っていくことが大事だと思っていました。本当に大事なことは、着かず離れず相談が出来る関係ということを心がけたつもりです。
 行政の立場としては、「地域の基盤づくり」が大事だと思いますので、初めての試みですけど、今年9月に子育てサークルの交流会を開いてみました。香美市は3町村が合併して、なかなか横のつながりが住民同士できていない部分もありましたので、子育て支援について一緒に考えてもらうような仲間がいたら拡がりができると思いました。さらに子育てサークルを紹介する支援ブックを作ろうかとも考えています。それは県の少子対策課の今年度からできた新しい補助金のおかげで今年そういう活動ができました。
 サークルの話を聞くとか、住民の声を聞いていくという辺りは基本ですが、子育てサークルの活動が充実してくると、地域の子育ての力も上がってくるというようなイメージが、今湧いています。また、今後サークル活動に新しく参加してくれる方も増えたらいいなと思っています。そういうことにも行政的に何かやっていかなければと思っています。

(知事)
 どうもありがとうございました。
 大きく2つの点について教えていただければと思います。まず、本当に地域のコーディネーターとして大切だと思うことのお話をしていただきました。これは、我々行政としてどう取組をしていくか、そのやり方について非常に大きな示唆を与えていただいているんだと思います。
 Cさんも行政との距離感というお話をされました。また主体性を大事にし、そして寄り添うんだというお話がありました。Dさんからは、あまり行政が関わりすぎるといろいろ制約が出てきて、むしろ足かせになってしまうことがあるだろうと。やはり付かず離れずというところも必要だ。けど、しかし離れないということですよね。そこが大事だというお話をいただいたところです。
 この辺りの距離感で、是非気をつけようじゃないかという点があればお願いします。
 もう1つ、やはり行政の強みとしてネットワークがあるということ。ネットワークとしての取組、これはむしろ我々のほうでネットワークをつなぐ役割を持っているということを大いに自覚して行動するということが大事なんだろうと思うんです。ネットワーク力を発揮していくために、こういうのをすればどうかという点があれば教えていただければと思うんです。

(参加者C)
 まず行政との距離感、関わり方についてですが、一番最初何も形がないところから生み出すところが一番苦しむところで、やっぱり市役所や社協などが、「これが仕事だ」と思うことをまず自覚する必要があるのではないかということを感じています。
 それと2点目のネットワークについてですが、やはりお母さんたちがどれだけアンテナを広げても、圧倒的に行政にかなうものではないんですね。それをうまくつなげてあげるとか、それもあまり提供しすぎると、消化不良を起こしますし、無理もいきますので、タイミングとか勘所とか、嗅覚とか、そういうようなことも一定必要になるんじゃないかなと思います。

(参加者D)
 距離感については、顔が見えるというか、直接顔が見える機会がほどよくあるといいと思います。何かの時に言おうかな、相談しようかなと思っても、やはり見えない人にはわざわざ相談しないということがあるので、行政のほうも顔を見せたり、自分からも進んで中に入っていくことが必要だと思います。嫁と姑やったらスープの冷めない距離とかそんな感じなんですが、本当にその加減はすごく難しいとは思います。
 ネットワークについては、Cさんも言われましたけど、こちらがいっぱい情報を持っていても、いつ出すかというのは、本当に相談に来た人の背景を考えることができないと、「それはできません」で終わってしまう。それだとその先に進歩はないので、仕組みを作っていくにはその背景をきちっと押さえていくこと、本当の意味は何なのかといったことを押さえることが大切だと思います。

(知事)
 あんまり近づきすぎないけど、顔が見えていて、背景がよくわかっていて、適宜のタイミングなんですね。だから、行政なんかもたまに行ってどうのというのではなくて、日ごろから地域に行くことが大事なんでしょうね。地域支援企画員みたいに。
 今言われた「無から有を生む」ことについて、行政が「これを仕事だ」と思っているかという話ですが、行政は要するに「あなたの課はこれがミッション」と与えられるとまず間違いなく、確実にそれを達成します。ただ問題は、ミッションじゃないこと、ミッションかどうか分からないことについてはなかなか動こうとはしないというところはどうしてもあるのですが、ただ、これ実はミッションの作り方なんだろうと思うんです。
 いわゆるアウトカム目標とアウトプット目標ってあるじゃないですか。例えば、これこれの会議を開催することがミッションになってしまうと、その会議は絶対に開催します。しかし、そういうミッションの与え方、いわゆるアウトプット目標をミッションにするというのは、行政としても上手いやり方じゃなくて、例えば「この地域において子育て支援サークルのネットワークをしっかり作ること」や、「お互いの支えあいの仕組みというものをしっかり作り上げていくこと」みたいな成果。いわゆるアウトカムそのものを目標に設定していくと、無から有を生まないとそのミッションはできなくなるので、そういうことを一生懸命追求するということなのかなと思っています。
 それで今、日本一の健康長寿県構想も、産業振興計画も、できるだけアウトカム目標を立てて、成果目標を立てて、それが達成できたかどうかということを問うという方向に行こうとしているところなんです。これ民間だったら当たり前で、そうじゃないと例えば会社はミッションを立てて、成果を出せなかったらつぶれてしまいますから。けど、公務員はつぶれませんから、成果は出さなくても、給料がもらえるところがあったりして、なかなかそこへ行くことは難しい面もあるんだろうと思います。なので私は出来るだけ成果目標を設定するようにして、ミッションを何としても達成するという形にしています。これ公務員魂として非常にいいところだと思うんですが、成果目標が前面に出て来ると、それへ向けて一生懸命頑張っていただいているという感じもします。その辺りは計画の立て方なんかも、無から有を生むから成果が出るので、そこに気をつけていきたいと思います。
 最後、「ろばみみ」で非常に活動があって関心したんですけど、「預かり」とか「クッキーを作りたい」とかいろいろな活動をしておられるということですが、それ全部何か事業部制みたいにして実現しておられるんですね。これ大変じゃないですか。

(参加者C)
 彼女たちはボランティアで全部やっているんです。ですが、彼女たちが一番大事にしていることは、楽しいことしかしないんです。面白くないことはしない。ボランティアだけど楽しい範囲でやろうということなので、決して無理はいけないというのが今の実態です。

(知事)
 なるほど。ものすごく活発だなと本当に思っていましたけど、よくわかりました。ありがとうございました。
 今、子育て支援サークルの皆さんの後押しを少しでもさせていただきたいということで、今年からいろいろネットワークづくりという取組をさせていただいたりしているんですが、子育て支援の関係の施策というのは、本当に、まだこれからさらに発展の余地が大きい分野だと思っていまして、今一生懸命やってきたのは、出会いのきっかけを作るとか、地域のお世話焼きの方を作ったりとかといった子育ての前段階の話をやっていたんですが、だんだんと領域を広げていきたいと思っています。またいろいろお知恵を賜りますよう、よろしくお願いします。

(5)徘徊模擬訓練、認知症の人と家族の会「さくらの会」について
(参加者E)
 平成18年の4月に須崎市でも地域包括支援センターが設立されまして、高齢者の生活全般の総合相談窓口になっています。その中で、独居高齢者の方が認知症により閉じこもりになって、なかなか姿が見えないと地域住民の方から相談があったり、ご家族から物忘れもあるし、何回も何回も同じ事を繰り返すが、どんなふうに対応していいのか分からないといった相談を本当に多く地域の中で聞きまして、なかなか家族も相談する相手がいないという、地域の中でも孤立した実態が伺えました。
 そんな中、須崎福祉保健所のほうから他県で行っている「徘徊模擬訓練」の映像を紹介していただきました。民生委員の方々や、認知症ケアの実務者の方々等とも日々の連携の中で協議を重ねていく中で、最も高齢者が多い須崎旧市街地をモデル地区として、須崎市なりのやり方でまずやってみてはどうかと、民生委員さんから心強い声をいただきました。
 そこで、平成21年最初に須崎地区で第1回のモデルの徘徊模擬訓練を民生委員、消防、警察、認知症の人と家族の会「さくらの会」(※以後「さくらの会」と表記する)の方にもご協力いただき、計36名で行いました。
 ただ徘徊高齢者を見つける訓練そのもので終わるのではなく、その後、警察の方も消防の方も住民の方も一緒に1つのフロアで、この訓練のよかったところ、みんなで工夫したところ、どんなところが難しかったかなどについて、グループワークの時間をしっかりと取ることにしました。そこから見出した自分たちの課題は、次の地域に活かしたいという思いもあり、その意見を大切にしたいなと思っていました。
 その中で、この訓練を須崎市地域だけで終わらせず、ほかの須崎市全域にやるべきではないかとか、高齢者がよく行くスーパーとか郵便局、銀行なども声をかけて訓練に参加してもらったらどうかという貴重なご意見をいただきました。第2回目以降は、そのグループワークでの意見を反映して、参加者全員で考え、行動できるというようなプログラム内容で実施しました。
 今回ご紹介しているのが第3回須崎市南地区での様子です。サポーターとして認知ケア実務者の方、それから徘徊高齢者等にも「さくらの会」のご協力をいただいたり、また須崎福祉保健所の方にも来ていただき訓練を行いました。また協力者として、警察、消防だけでなく、南小中のPTAだったり、漁協であったり、民生委員、南郵便局、老人クラブボランティアの会等々皆さんにも声を掛けさせていただきました。
 資料では郵便局での様子を載せていますが、徘徊高齢者の方が息子にお金を送りたいけど、印鑑と通帳は嫁が隠しているからないといった、よく皆さん聞かれるような場面じゃないかと思うんですが、これも実は「さくらの会」の方が担ってやってくださっています。当日は、郵便局も場所提供をいただき、とまどい高齢者の対応を体験していただいています。
 公民館に帰った後、本当に職種関係なく皆さんが1つのグループに集まって、いろんな自分たちの工夫したことを出し合いました。今回は、その中で出た意見をご紹介します。訓練に参加した住民の方からは、最初に見掛けたときに、「どう声かけていいかわからなかった。グループだったから心強かったけど、一人ではなかなか難しいのではないか。」「やはりこんな訓練は何回も何回も繰り返して、自分たちも慣れていかないといけないね」とか、「地域で気をかけることが一番大事だ」というようなとても貴重なご意見をいただいていますし、徘徊高齢者役からは誘導するときに、「強く引っぱられるとちょっと怖かった。やっぱり手を添えるような気持ちで誘導してほしい。」という意見があり、こういったご意見を共有しています。皆さんグループで出た意見を出し合い、確認しあって、最後に「さくらの会」Gさんから認知症についての説明がありました。Gさんは、いつもおっしゃるんですが、認知症は本人が痛む病気だけではなくて、家族も痛む病気だと。1人の目より10人の目、100人の目が地域で支えとなる。そういう本当の家族の声を聞く機会というのがなかなか無いですけども、今回の訓練では、そういう機会にもなっていますし、地域住民の方、それからケアスタッフも現状理解という共通意識をつなげている機会になろうかと思います。
 この訓練を通じての気づきとしては、やはりこの地域で支える仕組みとして、本人、家族だけの問題じゃなく、全体で考える体制を目指してこの訓練を実施すること。認知ケア実務者、「さくらの会」の方と共に訓練の目的や実施要領を共有し、当日のプログラムを作るように気をつけることです。
 また、グループワークからの意見を見ても、ケアスタッフ、家族の方が徘徊役やサポーターとなることで、日頃の自分たちのケアを見直す、「後ろから声かけられたら怖かった」とか、「こうやって手を引っぱるっていうのは怖いよね」といった意見など、実際、高齢者役を体験することで、日頃のケアを見直すだけじゃなく、訓練を自分たちケアスタッフが立ち上げて、それぞれの役割を自分たちがやったことを認め合う。また、住民の方は自分たちが本当の主役、中心となり動くことで、訓練の目指すものが参加者自身で考え行動するようになる。本当にシナリオはなく、皆さんに考えて対応していただかないといけないので、現場で考え、行動する機会になっていると思います。
 またこの訓練では、地域住民の方だけではなく、地元の精神科職員の方、実務者や家族の方が同じ課題に望む機会になっています。地域住民の方は、日頃、ケアが必要にならないと、ケアマネージャーと関わりもありませんが、予防も含めて、早めに皆さんが相談できる、顔の見える関係を築けると思いますし、またケアスタッフの方も、「地域の方も認知ケアの必要性を強く感じており、認知症だけでなく、困っている人にも積極的に声を掛けようと、一生懸命取り組んでいる」ということが分かり、お互いの役割を知り、相互交流の場にもなっていると思います。
 各地域での活動が底力となって、生きづらさを抱えている人、つまり、認知症高齢者を世話するだけじゃなく障害者の方などの見守り、発見、つなぎの共同体制というのを目指す。また災害時にもこういった顔の見える関係が役立つのではないかというふうなことも目指し、そういったネットワークも含めた形で計画しております。
 報道機関にも事前に連絡、取材、報道をしていただいていますが、参加者にとっても新聞紙面や映像、画像がテレビなんかに流れることによって、自分たちが担ってやっていかなければならない役割というのも再認識するという機会になっているのではないかと思います。

(参加者F)
 続きまして、「さくらの会」について私のほうから報告させていただきます。
 「さくらの会」では、家族はもちろん、家族会OB、介護を終わられた方も来ますし、居宅介護支援事業者のケアマネさん、あと福祉保健所職員や、地元精神科の医療機関の病院スタッフも入っていただいています。
 会の目的は、同じ悩みを持つ家族、仲間がお互い交流をし合って、励まし合うということです。悩みを語ったり、情報交換、あと介護の方法など、こんなときどうしたらいいとかというのを、適宜皆さんからアドバイスと助言とさせてもらうというような会になっていますし、今年の9月は認知症講演会ということで、「さくらの会」が自主的に講演会をやっています。
 こういった会の場合は、参加者の多くは女性が多いと思いますが、実はこの「さくらの会」というのは、男性の参加者も半分いますので、どこの家庭においても男女関係なく、この悩みというのは皆さん抱えられているということだと思います。
 この「さくらの会」は、あくまでも自主的な活動ということになりますので、保健師の役割は、毎月の定例の会に提供させていただきます「瓦版」というお便りの作成と、場所の提供だけです。運営は皆さんが、今日はこんなことを話そうと、持ち寄り話で輪が広がっていくような会です。
 会員の方の声をごく一部ですがお伝えするとしたら、認知症に対する情報収集、認知症の家族と初めて向き合うという家族に対し、困ったときにこうしたらいいという情報であったり、新薬などお薬のことです。こういった話は、やはり医療機関のほうの専門性が強くなりますので、地元の医療機関のほうから情報提供もあります。
 参加者の中には、毎回同じことを繰り返し質問されて、しんどくなったご家族が自分のお母さんに手を挙げられた方も中にはいらっしゃいます。普通だったら、お母さんに手をあげた事を非難されるところだと思いますが、「さくらの会」というのは、皆さん、「いや、うちもそうだった。」「実際、手をあげた」という方も中にはいらっしゃいますので、そういったことを否定することもなく、気持ちというものを受け止めてもらえるという場所にもなっています。
 ある方は、「胸のうちに溜まった思いをここで全部吐きだして、空っぽにして帰って、『頑張ろう、また家族と向かい合おう』という気持ちになれる場だ」と言われてました。しかし、本当にうちの会にこられている方というのは、多くの認知症家族の一部の方しか来られていない。まして、この会があるというのを知っていても、切羽詰まった状態じゃないと、参加しようということにならないということがあります。
 この会は、皆さん元気になって笑顔で帰られるんですけれども、須崎市民の中にはあまり浸透していないのではないかと「さくらの会」の方も言われています。私どもも、各市内のドラッグストアや量販店には、ポスターの掲示をさせていただいているんですけれども、みんな実際笑顔で帰られている姿というのを市民の方はご存知ないという状況です。
 あと、定期的にずっとこのように根気強く「さくらの会」をやっていくということは、すごく重要だということ。また行政に望むこととして、家族の方が言われているのは、未だに家族に認知症患者がいるということを恥ずかしいと思われる方がいらっしゃる。だからこそ「さくらの会」に足が遠のいてしまって、医療不安、虐待問題等につながっていくという状況も考えられると思われますので、認知症への理解について、先日(平成24年11月11日)も新聞(高知新聞)に一面広告で大きく出していただいていたと思うんですけど、そういった地道な活動をお願いしたいということを言われておりました。
 私のほうからは「さくらの会」の意見を、代表として報告させていただきました。以上です。

(知事)
 どうもありがとうございました。
 まずFさんから言っていただいた「さくらの会」の皆さんで同じ悩みを抱えた他の家族をもっともっと知ってもらって、帰られるときには笑顔になっておられるというところが大事かもしれませんね。広報活動などをもっと一生懸命、県でやりたいと思います。あとこの模擬訓練はなかなか有意義ですね。これはシナリオを作ってやるんですか。

(参加者E)
 認知症高齢者、それとサポーター役を当日決めます。グループホームの管理者であったり、ケアマネージャーにそういう役をやっていただくんですが、住民の方2、3人に認知症高齢者役、サポーター役がついて1グループとなり、どんなふうに対応していくのか、「後ろからついて、前からちゃんと声をかけれていたよ」とか、「大声で何人もがあのように声を掛けたら、ちょっと怖いんじゃないか」とか、対応する姿勢だったりとか、声の特徴であったりとか、細かいところまでサポーターがチェックリストを作ります。あとは高齢者役の方にも対応が難しい高齢者じゃなくて、ちょっと道が分からなくなっているぐらいの高齢者役をお願いしています。シナリオはありません。

(知事)
 なるほど。それと郵便局さんとか漁協さんとか、いろんな方に入っていただいているんですね。

(参加者E)
 はい。実は金融機関など、今年は、中学校にもご協力いただいて、認知症サポーター養成講座を開催しています。受講したところには積極的に、その地区地区で訓練を開催するときに声を掛けさせていただいております。

(知事)
 養成講座を受けられたところに参加してもらうんですか。

(参加者E)
 はい。養成講座を受けた皆さんも理解をされていらっしゃるので、私たちが案内に行くと、「訓練があるんですね。また、職員に時間があれば伺わせます」という対応につながりますし、郵便局員などは現場を離れるわけにはいかないということでしたので、半ば強引に場所を貸していただいたという経緯もあります。
 あとスーパーでも同じものを何回も何回も買いに来る方がいるという情報もあったので、実際にスーパーを借りて訓練をしたという経過もあります。

(知事)
 どうしてこんなに多くの方に参加してもらえるようになったかと聞こうと思ったんですが、なるほどですね。

(参加者E)
 須崎のほうでは、地域住民の方を対象に、共に学び合うということを目標にして、徘徊模擬訓練をしているんですけれど、高齢者の生活を支えるスーパーであったり、銀行であったり、そういう関係機関の方には、自分たちが支えられることは何なのかという視点を持ってもらうために、認知症サポーター養成講座を受講していただいております。あとは心強いサポーターが地域にもいっぱいいますので、その方にもご意見をいただき、お力をいただくということです。

(知事)
 なるほど。これから認知症の方は、政府の試算でも激増するだろうということが予想されていますので、多くの皆さんが日常接する課題になってくる可能性が高いですね。だから、こういう地域力を高めていかないといけませんね。

(参加者E)
 第1回の訓練の際には県の職員の方も何名か体験されていますので、是非、ほかの地域でやっていただいて、私たちもほかの地域でどうだったかということを聞いてみたい気持ちがあります。いろんな創意工夫で、それぞれの地域で取り組むことができるでしょうし、また訓練することが関係機関、「さくらの会」の方の役割でもあります。ケアスタッフの方、グループホームの方と顔がつながる機会にもなります。もし、ご家族に認知症が出ても、あのマネージャーさんに相談したいなとか、「さくらの会」の方に私の家族の悩みを聞いてもらおうというようなことにつながる。事前の下積みができるのかなと思いますし、「地域で、みんなで支えていこうよ」という体制づくりをまずしなくてはいけないと考えているところです。

(知事)
 勉強になりました。県全域で取り組んでみたらいいですよね、研究をしてみます。ありがとうございました。

(6)「地域での支え合いの取組」への支援について(馬路村)
(参加者H)
 地域での支えあいの取組への支援について、あったかふれあいセンターに関連した地域支えあいネットワーク会についてご紹介したいと思っています。
 現在の支えあいネットワーク会ですが、診療所、地域包括支援センター、社協、あったかふれあいセンター、役場の健康福祉課、デイサービス、介護サービス、保健師で構成されており、情報交換や、勉強会をしています。21年度からはあったかふれあいセンターの訪問も始まり、どんどん情報が追加、充実してきているところです。
 このネットワーク会は、平成19年から始めていましたが、あまり横の連携が取れておらず、情報の共有があまりできていないというような状態でした。特に地域包括支援センターとは電話でやり取りするぐらいで、集まる会がなく、本当に共有ができていない状態でした。
 現在の状況は、診療所の先生、看護師さんが参加することで、支援の方向性を決めやすくなったことが大きなメリットです。これが非常に心強いんです。医療、福祉、介護,保健の担当者が一堂に揃うことによって、たくさんの意見が会の中で話し合われるようになりました。その中から支援につながった例として、精神疾患、糖尿病の方、独居の男性の方なんですが、支えあいネットワーク会で診療所から情報が入り、「あったか」の訪問で薬が飲めてないことを確認ができたので、5月から週に1度訪問して、「あったか」の職員が服薬管理を行うようにしました。
 現在の課題としては、「あったか」の職員のスキルアップということです。地域の状況や住民の状態を的確に判断できる技術の向上、特にアセスメント力ということをあげています。情報収集の力をさらに付けていきたいですし、研修会があったら、是非参加をしてみたい、参加させたいと思っています。「あったか」の職員には、訪問して、その家の状況であったりとか、その人の体の状況が一目で分かるぐらいのアセスメント力をつけてもらいたいと思っています。それが支えあいネットワーク会に反映できたらと思っているところです。
 もう一つは、医療主導であるということ。現在の支えあいネットワーク会が医療主導、診療所の指導で進めているということで、介護サービスなどの利用状況など、住民のことについての報告会のような形がよくあります。そういうところをちょっと変えていきたい。「あったか」の職員の訪問の情報をもっと反映させたいと考えています。
 今後は、医療主導から福祉主導にできればと思いますし、各分野の職員が支援を分担して行い、福祉サービスについては「あったか」が見るということで、役割分担を明確化していきたいと思います。
 あったかふれあいセンターの事業は、社会福祉協議会の事業といってもいいほど広がりを見せてきているような状況です。住民が村にいつまでも生活できるような支援を心がけていきたいと思っています。支えあいネットワーク会もこれから充実させて、医療から福祉への主導に切りかえていきたいというのが、今後の目標です。

(知事)
 ありがとうございました。この地域支えあいネットワーク会ってすごいですね。これは医療の皆さんも入ってもらえる。医療主導だったっておっしゃいましたが、実に実効性があるというか、医療も一緒にやっておられるということはものすごく心強いですよ。

(参加者H)
 診療所の先生は、2年ぐらいで替わっていくんですけど、そこに2名の看護師さんがいて、住民の体の具合というのを先生以上に知っているので、先生を含めた3名が参加して来られることが非常に心強いです。「この方、どんな病歴がありましたかね」っていうような話になっても、すぐに答えが返ってくるし、そんなところが福祉側としては非常に心強いです。

(知事)
 介護保険サービスの利用者の方も一緒におられるわけですよね。この連携というのはこの会そのもので出来ているみたいですし、しかも個別のケースのお話もされるわけでしょう。こういう仕組みがどうしてできたんでしょう。

(参加者H)
 馬路村は小さい村ですし、横の連携が大切だろうということになりまして、福祉から介護サービスと一体で考えられるところなんです。住民も少ないですし、いろんなところをくっつけて一体的に考えていくべきだろうというようなことで始めました。

(知事)
 そうなんですか。これお医者さんの参加、せめて看護師さんでも参加しておられるとだいぶ違う、そんな感じでしょうね。それと、「あったか」職員さんのスキルアップが重要というお話、それもおっしゃる通りだと思います。ご存知のように社会福祉協議会の福祉研修センターでいろんな研修講座を設けてやっているんですけど、ますます充実していくように努力していきたいと思うんですが、こんな講座がもっといるって、そんなのありますかね。

(参加者H)
 まだ具体的にはこれからの事業の中で詰めていきたいと思っています。

(知事)
 ありがとうございました。最後に、「あったか」の事業が、だんだん広がりを見せているとおっしゃられましたが、我々がイメージしていたあったかふれあいセンターの事業というのは、まずは「集い」という感じだったんです。ただ一つ思っていたのは、小規模多機能。その中でも特に高齢者の方、子育て支援、それから障害者の方のケアとか1カ所でいろんな福祉サービスを提供できるということをしないと、高知の場合はなかなか実態に合わないのではないかということ。例えば、高齢者の方と子どもが一緒になるのにお互いによいのではないか。高齢者の方は元気になる、子どもにはいろんな躾などを教えてもらったりするというようなことをイメージしていたんですが、「訪問」、さらには「配食サービス」、場合によっては「泊まり」とか、どこまでできるのかは、地域によるとは思いますが、事業としての広がりをもたらしていくというふうにしたいというのが、2期計画の健康長寿県構想の狙いとするところなのです。
 そのためにも財源的なバックアップも県単独ででもつなげていきたいと思っていますが、できれば、国からのバックアップが得られればなおよしという思いで、今、国の厚生労働省と一緒に勉強会をやっています。結構、国も関心を示してくれて、今いろいろ勉強会もやったりして、国の事業としても後押しがもらえるような形にできないかということを努力しているところです。
 広がりをみせていくと、コーディネートをする方は大変でしょうね。いろんなことをやらないといけない。

(参加者H)
 コーディネートも簡単ではないですが、住民力をつけていけば、割と進みやすいかなと思っております。
 若い方、就労世代については、また別の方法で福祉教育をというような形をとっていますが、「どなたでも、誰でも」というのが謳い文句になっていますので、たくさんの方に参加していけるような場を作っていこうと考えております。

(知事)
 どうもありがとうございます。

(7)小地域ケア会議の実施による地域での支え合いの仕組みづくり(西土佐地区)
(参加者I)
 旧西土佐村の中心地江川崎より車で12キロほど山間に入った大宮地域を拠点に、地域福祉を推進することを目的として平成21年度新たに「NPO法人いちいの郷」を立ち上げました。
 平成22年4月に四万十市からあったかふれあいセンター事業を受託し、「あったかふれあいセンターいちいの郷」を開所しまして、今年度はサテライト事業もスタートしました。
 誰もが集えるサロン活動に取り組み、一方で地域に活動基盤がない新しい組織であったため、開所当初から地域での関係づくりを意識して、地域の全戸訪問にも取り組んできました。
 平成22年9月から運営推進会議を設置し、大体2、3カ月に1度の開催ですが、メンバーは地域住民の代表、行政、地元の大宮産業の代表の方にも来ていただいております。
 運営推進会議は、あったかふれあいセンターと地域の接点になっており、地域の声を運営に活かすことができると共に、地域の方々に「あったか」の取組を理解していただく機会になっています。
 連携の事例としては、自分たちが地域を訪問することを、地区長さんが事前に地区へ周知してくれたことで、トラブルもなく訪問できたことや、民生委員さんとの連携では、民生委員さん自身が高齢化し、訪問も難しくなってきているので、「あったか」職員と連携して訪問活動を行っている地域もあります。
 会議では訪問活動の中で、もう少し早く気が付いていたら、地域でもっと暮らせることができたのにという事例や、「あったか」だけでは対応しきれない事例等が共有され、一人ひとりの生活や人生をトータルに見たケアが必要ではないかという意見も出される中で、小地域単位でのケア会議の必要性が議題に上がったこともあって、小地域ケア会議の開催に向けた話し合いをしました。
 参加した地域の区長さんや民生委員、大宮産業や行政の方からもいろんな意見をいただき、「あったか」としても地区が主体的に実施する活動を基盤にしていきながら、地域の実情に応じたオーダーメイドの支援を検討できるよう、小地域ケア会議の場を活用していこうということになりました。
 「いちいの郷」は平成24年度から、西土佐地区全域に活動を広げることになり、現時点では、3カ所でサテライトを展開しています。サテライトを展開するにあたっては、NPOとしての認知度も十分浸透していないこともあって、地域の中には訪問の受け入れに不信感や抵抗感を示す地区もあり、それが課題となっていました。そこでサテライトを設置するにあたって、地域住民とサテライトの運営について話し合いの場を持つことをきっかけに、小地域ケア会議をお試しで実践することになりました。参加していただいたのは、地区長さんや民生委員さん、行政にも参加してもらってます。小地域ケア会議では、いろんな情報が共有されることで、地域や個々の課題についての早期発見が可能となり、地域の課題解決に向けた話し合いの場となっています。
 また一方で、小地域ケア会議ではありますが、地域での話し合いの場ができたことで、参加者からは地域の自慢や愛着についていろんな話が出て、地域の活性化に向けた意見交換の場にもなっています。ある地域では、見守りの仕組みづくりのための支えあいマップづくりをした地域もあり、そこでもいろんな気づきが共有されました。
 小地域ケア会議は、地域の課題や要支援者の状況を早期に把握する機会として有効であるだけでなく、地域にあるいろんな資源や可能性を知ることができるという意味でも、今後とも小地域ケア会議を開催しながら、あったかふれあいセンターの機能強化に取り組んでいきたいと思います。

(参加者J)
 「いちいの郷」の名前の由来は、大宮小学校に生えている樹齢300年というイチイガシという大きな木から、その名前をとって「いちいの郷」というふうにつけました。
 過疎高齢化が進んで、高齢化率46%ぐらいの大宮地区ですが、福祉活動という部分が進んでなかったということで、平成21年の12月に「いちいの郷」を設立をしました。
 23年の9月からは居宅介護支援事業所を開設して、その管理者をやっていますが、ニーズにあったサービス計画を作成するために、インフォーマルという部分であったかふれあいセンターの取組がすごく大事じゃないかと思っていますし、連携はすごくさせていただいています。
 ケアマネとして各地域の小地域ケア会議にも参加していますが、小地域ケア会議ができたことで、地域の住民の見守りとか声掛けなどが「いちいの郷」だけでは対応しきれなかったところの支援が可能になってきました。地区に見守り役の人がいたり、そういう人と役割分担がしっかりできてきたというところがあります。
 あと、支援の必要な方の情報が、早期に会議に入ってくることで、専門職へ速やかにつなぐことができることはあると思います。
 また、制度サービスの事業所として見ると、地域の支え合いとか「あったか事業」では対応できないケースも多く体験しましたので、その中で地域、「あったか事業」、制度サービスが連携して支援のネットワークの仕組みを作っていくことが非常に大事だと感じています。
 例えば見守りというのも仕組みにしていくことで、地域の人もそういったいろんな支援が出来ているのではないかなと考えています。

(知事)
 どうもありがとうございます。
 西土佐村、大宮産業、また「いちいの郷」もそうだと思いますけど、住民の皆さんも、何とか連携しよう、なおかつ、色々新しいことをしようという取組が素晴らしいですね。
 教えてもらいたいなと思うのは、そのあったかふれあいセンターだけではなかなか対応できないところというのが出てきたんだというお話についてなんですが、どういうことでわかったんですか。見守りをするにしても、あったかふれあいセンター事業だけだとカバーできない人が結構実際にはたくさんいる、そういうことからわかったんでしょうか。

(参加者J)
 カバーできないということではないんですが、情報がしっかりみんなで共有できるというところも大事だと思いますし、みんながバラバラにその人に対して支援するというのは、ある意味合意が皆でできていないと思います。地域の人もお互いに役割を持ってもらうことで、そういう意識も生まれますよね。

(知事)
 馬路でも作っておられるという話でしたが、そこに似たところがありますか?

(参加者J)
 もちろん西土佐地域でも専門職との会があって、そこに「あったか」の職員が入って、要介護認定を受けた方の話し合いにもなっています。ただ、やっぱり専門的な話にどうしてもなってしまいます。小地域ケア会議の場合は、近所のおばちゃんたちが来てお話をしており、「この人はこうなんだよ」といった情報が入ってきて、専門職へつなげることができますので、より困難になる前に、早期に発見できるという部分ではすごくいいかなと思っています。

(知事)
 それぞれバラバラにやっているんじゃなくて、こうやって連携してやっていくということを共有するということですね?

(参加者J)
 そうですね。地域の中でもいろいろ流れがありますので、その動きも合わせながら一緒にやっていくというのがすごく大事です。ケアマネとしてもそういうインフォーマルな部分を活用して介護や、サービス計画を立てていきたいんです。だから、そこら辺の資源がしっかりわかってないとなかなかうまく組み合わせができませんので、そういう意味でも非常に大きいんじゃないかなと思っています。

(知事)
 あったかふれあいセンターでいろいろやっていかれる中で、運営推進会議という母体があって、小地域ケア会議みたいなのをやっていこうかなという話になっていかれたんですか。

(参加者J)
 そうです。運営推進会議は、あったかふれあいセンターをどうふうにやっていくかというところで、いろんな人に入ってもらって話をしていたんですが、その個別の支援というところは全然話をされてなかったので、そこら辺はどういうふうにやっていくかというところがありました。

(知事)
 馬路さんもそうですし、「いちいの郷」もそうですけど、こういう展開というのは、1つのモデルとしていいんでしょうね。こういうのを勉強させてもらって、県全域的にあったかふれあいセンター事業に取り組んでいるところに、こういう形でやってみられたらどうですかということを提案させていただくということはあるかもしれないですね。我々の声じゃなくて、いろんな専門家の皆さんとうまく連携ができているということがあってこそですよね。本当の意味での支えあいができるということについては、なるほどと思いました。
 「見守りを仕組みにしていく必要があるんだ」というお話は本当にその通りだと思います。見守り協定を結ばせていただいて、ヤクルトさんとか新聞さんとか見守りをしていただくとか、ああいった仕組みの作り方っていうのもあるんでしょうけど、こうやって地域のいろんな地区長さんとか民生委員さんとか、保健師さんとか医療の関係の皆さんとかいろんなボランティアの皆さんとか、ネットワークでつないでいくこと。それができるようになるって重要でしょうね。

(参加者I)
 やっぱりこういう会を開いたりして、「いちいの郷」というのが社会資源の1つになって、本当になくてはならないものというふうに今なっているんです。
 私たちは社協でもないし、行政でもなくNPOでやっていますので、毎年、来年はあるんだろうか、来年はあるんだろうかという壁にぶつかるんです。ある方をケアする、見守っていきたいというときでも、「あんたらいつまでやってくれるの?」みたいな話も出たりとかするわけです。でも、私達はもう一生懸命、本当にその人と関わってしまったら、絶対関わり続けたいというか、見守り続けたいという形でやっています。

(知事)
 私、去年の秋に大宮産業のガソリンスタンドに行かせていただいて、その時も住民の皆さんと話をさせていただいたんですけど、「あったかふれあいセンターの事業はやめないでくれ」というふうに言われました。これ絶対続けていきます。少なくとも私の間は絶対続けていきたいと思っています。
 今年度から県単独事業としてやり始めたところですが、これは健康長寿県構想の、福祉分野の高知型福祉の中核の中の中核でありますから、絶対続けていきたいと思いますし、さらにもっと言うと、このあったかふれあいセンターの事業を集落活動センターという形にだんだん発展させていって、その地域の活性化等全般につなげていけるようになればいいなと、思っています。今後も続けていきたいと思います。
 ただ、他の県に前例があるわけでもなく、いろんな意味で試行錯誤がこれからも続くと思いますし、さらに、地域ごとのオーダーメイド制というのが強いと思って、いろんな地域のいろんな取組に対応できるような形で、我々が柔軟性を持ちつつ、それこそ行政が足かせにならないような形での運営を心がけていかないといけないと思っております。また、どうぞよろしくお願いします。

4.会場からの質問等
(参加者G)
 「さくらの会」の代表をやっているGです。
 「さくらの会」の、モットーとしては、「加害者にもならないでおこう」、「自分で家族として命を縮めることもしないでおこう」と、そういうモットーでやっております。悩みとしては、PR活動を結構しているつもりなんですが、なかなか会の動きが市民の方に見えないということです。
 先ほど説明でもありましたように、「毎月第1火曜にあるよ」ということは、コンビニなどでいろいろチラシを貼ったりしていますが、まだなかなか告知できていないのかなと思います。実は私自身もそうでしたが、母親が発病したときに、思わず「これは誰に相談しよう?人に相談するわけにもいかないしな」という気持ちがあったんです。今は誰でもかかる病気だという理解ができるようになりました。だから、もっと自分たちも積極的にPRしようと取り組んでいます。
 先日(平成24年11月11日)の高知新聞の一面の記事、非常にありがたく読ませていただきました。ああいうPR活動を今後とも是非していただきたいと思いますし、今、須崎のほうでは、先ほど言いました専門病院の先生が非常に熱心に「さくらの会」に相談に行きなさいというふうな後押しをしていただいていますので、そういう面では非常に感謝しています。
 徘徊模擬訓練のお陰でネットワークも結構できましたので、是非他地区でも参考にしていただいて、共同歩調を取らせていただきたいなと考えております。

(知事)
 県全域のいろんな会の活動の概要や、連絡先といったものをまとめたチラシやパンフレットみたいなものを作って、いろんな方に配って、紹介してくださいとお願いするとか、そんな案も考えたりしてみます。どうもありがとうございました。

5.知事まとめ
(知事)
 本当に皆さん、今日長時間にわたりまして、誠にありがとうございました。非常に先端的な取組についてお話を聞かせていただいて、次に向けて貴重なアイデアをいただいたなと思い、ありがたく思っています。
 今日いろいろ教えていただきましたことにつきまして、今後、健康長寿県構想を秋から冬にかけてもう一段またバージョンアップして、第2期のバージョン2という形で改善していくことに活かさせていただきたいと思っております。また私としてもこの2時間で十分消化しきれてない部分もたくさんあると思います。また今後お伺いさせていただいたりすることが多数あろうかと思いますが、また教えていただけますように、どうぞよろしくお願いをいたします。
 平成24年度の県民世論調査、高知県が毎年県民世論調査をやるんですが、「地域活動への参加をあなたはしたいですか」ということについて質問をしたんです。非常に心強い結果でした。「積極的に参加したい」、または「条件に合えば参加したい」とお答えになった方が、約9割いらっしゃいました。これは本当に心強い、土佐の高知の県民の皆様方の志を見たといいますか、本当にありがたい結果だなと思ったところです。
 潜在的に多くの皆さんが地域での支えあい、地域活動に参加してお互い支えあいの活動に参加したいと思っておられるところです。確かに少子高齢化、人口減少など、大変な状況にあるわけですが、こういう高い志を持った県民の皆さんが、本当に多くおられる。そして皆さんのような仕組みを上手に作られた皆さんがいらっしゃるわけです。こういう多くの県民の皆様方の気持ちを活かせますように、我々も健康長寿県構想、さらには産業振興計画、中山間対策、いろんな施策を組み合わせていきながら、よい仕組みを作っていくことで、こういった県民の皆様方のお気持ちに応えて、この人口減少社会を乗り切っていく、新しい処方箋を全国に提示していきたいと、そのように思っています。
 人口減少、高齢化は大変ですが、決して高知県だけの課題ではなく、いずれ全国同じようになっていきます。ある意味、我々は課題の先進県なんであります。課題の先進県で長い間苦しんできたからこそ、真っ先に処方箋を提示して課題の解決案を出せる先進県なんだということを、今お答えをさせていただいているところですが、そうすることでまた高知県を全国の多くの人が見習う、また多くの人がこういう県に住んでみたいと思う、そういう県にできればいいな、そのように思っています。
 本当に皆さん、今日はありがとうございました。今後ともいろいろお知恵を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。我々も一生懸命汗をかいてまいります。またどうぞよろしくお願いいたします。皆さん、本当にどうもありがとうございました。

6.閉会
(司会)
 以上をもちまして、第3回「対話と実行座談会」を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
(終了)


テーマに関して事前に寄せられたご意見と対応方針

第3回「対話と実行座談会」を開催するに当たり、事前にテーマに関する質問を募集しました。
いただいた質問に対する県の対応方針について以下のとおり取りまとめました。

WORD [WORDファイル/17KB]  PDF [PDFファイル/142KB]

この記事に関するお問い合わせ

高知県 総合企画部 広報広聴課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号(本庁舎2階)
電話: 広聴担当 088-823-9898
広報担当 088-823-9046
ファックス: 088-872-5494
メール: 080401@ken.pref.kochi.lg.jp

PDFの閲覧にはAdobe社の無償のソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」が必要です。下記のAdobe Acrobat Readerダウンロードページから入手してください。

Adobe Acrobat Readerダウンロード
Topへ