8−3 労働条件の明示

公開日 2012年06月26日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (香川県労働委員会)


 私は、社長との面談で会社に採用されましたが、労働条件についてはその時の約束だけで、労働契約書などの書面を交わしていません。

 また、職場は従業員10人未満で就業規則も作られていませんので、賃金や労働時間、休日といった基本的な労働条件については、実際のところ何に基づいて決められているのかよくわかりません。

 このような場合、どうすればよいでしょうか。


【お答え】


 使用者と労働者が合意していれば、いわゆる口約束でも労働契約が成立します。しかし、後になって言った言わないのトラブルが起こる原因にもなりますので、基本的なことは書面などで確認しておくことが大事です。

 法律でも労働基準法で、労働契約を締結するにあたり使用者が労働者に明示すべき労働条件の事項と明示の方法が定められています。【労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条各項】

 たとえば、労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務、始業及び終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期、退職(解雇の事由を含む)などに関する事項は、書面を交付して明示するよう規定されています。また、書面の交付によるとの規定はありませんが、昇給に関することについても明示することとなっていますし、制度を定めているならば、退職手当、賞与、休職などに関することも明示することとされています。

 なお、お尋ねの場合には該当しませんが、これらの労働条件が就業規則に定められている場合は、その適用部分を明確にして交付すれば明示したものとして取り扱うことができることとなっています。

 この規定によって明示された労働条件が事実と違っている場合には、労働者は、即時に労働契約を解除することができますし【労働基準法第15条第2項】、労働基準法第15条第1項の労働条件の明示に違反した者は、30万円以下の罰金に処すると規定されています【労働基準法第120条第1号】。

 また、求人票や求人広告などに記載される労働条件にも明示に関する規定があります。【職業安定法第5条の3】

 前述のとおり、明示が無い場合でも、労働契約そのものは有効に成立するものと考えられますが、安心して働くには労働条件が明確に定められていることが必要です。法令等を確認し、これらを踏まえたうえで、会社側とよく話し合われてはいかがでしょうか。



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