公開日 2008年12月31日
更新日 2014年03月16日
国庫補助負担金の整理・分類について (平成15年9月29日 総務部財政課)
1.目的
政府がこの6月に閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」においては、国と地方を通じた税財政制度の改革、いわゆる「三位一体の改革」に関して、平成18年度までに概ね4兆円の国庫補助負担金を廃止・縮減する方針が示されており、今後、年末にかけての国の予算編成の中で、個々の国庫補助負担金の具体的な廃止・縮減に向けた議論が進められることとなっています。
この改革により、これまで財源面で国に依存してこざるを得なかった高知県としては、さらに厳しい財政状況も予想されますが、一方で、国庫補助金などを通じた国の関与が縮小することで、これまでよりも県民のニーズに合った取り組みが可能になる面もあると見込まれます。
このため、国庫補助負担金を受け入れて行っている個々の事業について、これまでの制度を前提とせず、今[1]必要な財源さえ保障されれば県独自の発想で実施した方が良いと思われるものは何か、[2]国が引き続き責任を持って行うべきものは何か、といった視点で整理・分類を行うことで、この改革に備えるとともに、地方の実情を踏まえた改革を国に求めていくことにしました。
2.調査の対象
国庫補助事業のうち市町村事業に係るもの及び国庫委託金を除く約79,271百万円(618件)の整理・分類作業を行いました。(詳細は別紙のとおり)
【参考】国庫補助事業(国費ベース)の概要(但し、一般会計・特別会計の合計、単位:千円)
全体 |
市町村 |
県・その他事業 |
うち投資 |
うち経常 |
||||||
|
件数 |
金額 |
件数 |
金額 |
件数 |
金額 |
件数 |
金額 |
件数 |
金額 |
負担金 |
66 |
35,648,801 |
2 |
4,699,511 |
64 |
30,949,290 |
11 |
2,411,438 |
53 |
28,537,852 |
補助金 |
671 |
56,636,028 |
117 |
8,314,595 |
554 |
48,321,433 |
188 |
43,007,991 |
366 |
5,313,442 |
小計 |
737 |
92,284,829 |
119 |
13,014,106 |
618 |
79,270,723 |
199 |
45,419,429 |
419 |
33,851,294 |
委託金 |
103 |
1,037,853 |
11 |
159,977 |
92 |
877,876 |
5 |
152,378 |
87 |
725,498 |
計 |
840 |
93,322,682 |
130 |
13,174,083 |
710 |
80,148,599 |
204 |
45,571,807 |
506 |
34,576,792 |
3.調査の視点
各種補助事業の見直しにあたっては、その財源が地方に保障される(6月の首相指示にある「義務的経費は全額、その他のものは8割程度を税源移譲する」)ことを前提に以下の視点により、整理・分類作業を行いました。
- 国の基準(法律や交付要綱等)による様々なしばりが、県独自の取り組みを阻害していないか。
- 国の地方分権推進計画における整理合理化方針に該当していないか。
- 補助金の額や役割に対して、県の事務の負担が大きすぎないか。
【参考】整理・分類の一覧
継続するもの | 国庫補助制度として今後も必要なもの | 1 |
一般財源化により、さらに自主性・効率性が増す(義務) | 2 | |
一般財源化により、さらに自主性・効率性が増す(その他) | 3 | |
市町村が主体となるべきもの | 国庫補助制度として今後も必要なもの | 4 |
一般財源化により、さらに自主性・効率性が増す(義務) | 5 | |
一般財源化により、さらに自主性・効率性が増す(その他) | 6 | |
断念するもの | 直ちに可能なもの | 7 |
一定の期間を置く必要のあるもの | 8 |
※「義務」とは、その内容が義務的・固定的なものであり所要額の全額を国が責任をもって財源保障すべきと考えるもの。
※「その他」とは、奨励的な補助金など、事業の内容を地域独自の発想や工夫により行っていくことで、8割程度の一般財源が措置されていれば、弾力的に対応が可能と考えられるもの。
※「一定の期間を置く必要のあるもの」とは、法改正の必要のあるものや相手方の事情等によるもの。
4.その他
今回の調査は上記3にもあるとおり、それぞれの事業について、制度の基本的な部分は変えずに必要な財源が保障されることを前提としたものです。今後政府における議論の状況などを踏まえて随時見直していく予定としています。
国庫補助負担金の整理・分類の概要
国庫補助負担金の整理・分類結果の概要と基本的な考え方 (平成15年9月29日 総務部財政課)
1.経常的経費
(1)国庫補助負担金として今後も存続すべきもの
生活保護、障害者、介護保険、精神疾患、難病対策などの関連事業のうち、根幹的な部分(直接的な個人給付や施設への入所措置などの財源となっているもの)であって、憲法をはじめとした法体系の趣旨などに照らしても、国の意志と責任をもって引き続き実施すべきであると考えられるもの
信用保証制度など、国民の生活や経済活動のセーフティネットとして国が最低限実施すべきであると考えられるもの
地籍調査など、国の事業を進めていく上でも全国的な調査が必要であって、かつ南海地震対策といった高知県の事情を考慮した場合、今後とも重要と見込まれるもの
(2)義務的経費として100%税源移譲すべきもの(廃止、一般財源化)
義務教育(人件費)国庫負担金のように、上記(1)以外で、法令で義務づけがあるなど、実施するかどうかの裁量の余地は乏しく、その経費の内容も人件費、奨学金等、対象が明確で効率化にはなじまないものであるが、国の画一的な基準に従うよりも、人員配置やサービスの内容等で地域の自主性を発揮して取り組むことで、より質的な充実が期待される分野
(3)財源的に80%程度で実施可能と考えられるもの(廃止、一般財源化)
いわゆる奨励的な補助金といわれるもので、産業振興など、地域での自主的な発想や取り組みにより本来対応できると考えられる分野のもの
2.投資的経費
(1)国庫補助負担金として今後も存続すべきもの
砂防事業、高潮対策事業等、大規模地震対策や津波対策等の観点から、国が責任を持って今後も取り組むべきであると思われる分野のもの
災害復旧(関連)事業
(2)義務的経費として100%税源移譲すべきもの(廃止、一般財源化)
社会福祉・教育施設整備等(行政が担うべき根幹的な分野の、しかも対人サービスに直接関わるものであり、一人あたりの経費の大幅な節減も難しいものであるため)
(3)財源的に80%程度で実施可能と考えられるもの(廃止、一般財源化)
一般公共事業等(80%程度の財源があれば、1.5車線的な道路整備のような発想で弾力的な対応が可能であるため)
(4)県として、事業そのものを今後廃止すべきもの
市町村事業にかかる指導監督費に伴う補助金(本来国が直接実施するか、少なくとも県に委託金として支払うべきもの。補助金のような形で県が一部財源を負担することは不合理であり、廃止を含めた是正を求めていく。)
【参考資料】
- 国庫補助負担金(経常:県・その他)[PDFファイル/62KB]
- 国庫補助負担金(投資:県・その他)[PDFファイル/43KB]
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