12−1 業務上の損害賠償

公開日 2011年10月25日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (香川県労働委員会)


 私は、会社で運転業務に従事していますが、会社所有の高所作業車(レンタカー用)を回送中、道路を間違えて高架の低い所に進入したため、作業車の一部を高架橋に当て車と高架施設を破損しました。会社からは、給料の半年分にも相当する車の修理代を請求されて困っています。また、高架施設の修理代と高所作業車をレンタルできないことの補償も後から請求されると聞いていますが、私が全部支払わないといけないのでしょうか。
                    

【お答え】 


   あなたが進入路を間違えるというミスから損害が生じている場合、一般的には、会社には車の修理代と稼動できないことによる直接的損害の賠償を求める権利があり、同時に会社が施設所有者へ高架施設修理代を立替払いした場合にはあなたへ求償できるということになると思われます。
  ただ、このミスがもっぱらあなたの落ち度から生じたのではなく会社の運行指示や業務配置などにも問題がある場合あるいは損害保険加入など経営常識と考えられるリスク対応措置を講じていなかったりなど、損害分担の公平性に欠ける場合には、あなたの賠償責任を軽減すべき事情を主張できると思われます。最高裁判所が「事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務の態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し損害の賠償又は求償の請求をできるものと解すべきである」と判示して賠償の範囲を制限した例が参考になるでしょう。通常は労働者が損害のすべての額を支払う必要はないと思われます。具体的な事情をできるだけ仔細に調べて会社と話し合うようにしてください。
  話し合いにあたっては、会社側から損害の内容や額、損害保険などを詳しく示してもらい、一方、あなたの過失の程度、支払能力などを説明し、できるだけお互いが納得のいくように務めると良いでしょう。もし、話し合いがうまくいかない場合は、当労働委員会や労働局で行っているあっせんを利用するか、法律の専門家への相談をお勧めします。



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