5.出産・子育てへのメッセージ

公開日 2009年03月26日

更新日 2014年03月16日

1.なぜ今、胎児期からの支援が必要なのか
2.胎児期に大切にしたいこと
3.乳幼児期に大切にしたいこと
4.みんなで取り組んでほしいこと
5.出産・子育てへのメッセージ   アドバイザー東京大学名誉教授 小林登
 平成15年度の協議概要

  平成16年度
  「胎児期からの育成支援部会」開催状況

  「胎児期からの育成支援部会」委員名簿




(3)乳幼児期に大切なこと “やさしさ”の事例から

【事例1】 子どもの発育には愛情が欠かせない

世話をする大人の性格で、子どもの成長過程が異なったり、可愛がられない子どもはうまく育たないことが分かっている。
 重症栄養失調児の治療に母親代わりとなるボランティアをつけた場合、体重増加が4ヵ月間で4倍になった。感染症の頻度は1/10、死亡率は0になった。(付けない場合は4.5%、死亡率3%)
 このことにより、優しさによって、免疫力がつくことが立証された。

―1989年国際小児学会(南米)より−

【事例2】 お産とエモーショナル・サポート

「エモーショナル・サポート」とは“ドゥーラ(doula)”と呼ばれる女性が、妊娠・分娩・育児をする母親の側にいて、心身ともに支え優しく勇気づけてあげることで、生命のバトンタッチのための行動システムといえる。安産や母乳育児に効果がある。

<エモーショナル・サポートの効果>
分娩時間 陣痛促進剤
使用
産褥病発症率 子どもの病気 新生児感染症
発症率
付けた場合 7.4時間 17% 1.5% 10% 4.2%
付けない場合 9.4時間 43.6% 10% 24% 14.7%

 お産に対する強い不安があると、アドレナリンが増え子宮収縮力が減る。分娩時間が長引き、胎児が仮死状態になることもある。
 このことから、お産に対する不安を和らげる「エモーショナル・サポート」は薬と同じ効果があるといえる。医療関係者は、このことをまず整理し、その後に薬の使用を考える必要があるのではないか。
 また、お産後、あかちゃんに微笑む、語りかける母親が圧倒的に多く、子育て意欲を高める効果もあった。


(4)子育てに重要なこと

 子育てで重要なことは、子どもたちに生きる喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜びを与えることであり、父親や母親も生きる喜びを感じるような生活をすることである。

 言語が発達する前までは、ふれあい、スキンシップ等の感性の情報豊かな“やさしいふれあい豊かな子育て”が大切で、その後、言葉が発達し理性でコミュニケーションができるようなれば“論理的なプログラムを使っての子育て”が必要ではないかと考える。

(5)その他 「子ども学」(Child Science) “みんなで子どものことを考える”ことのすすめ

子どもの問題は、社会的側面と生物学的側面をいかに総合的に考えるかである。医学、心理学、教育学等の研究者がそれぞれの成果を一緒になって考えることが必要である。ぜひ、「高知子ども学会」を作ってほしい。

・1980年に原ひろこ(文化人類学)、小嶋謙四郎(心理学)、宮澤康人(教育学)、小林登(小児医学)で「新しい子ども学」を発行。子どものことを考えるときには、学際的な視野が必要である。
・2004年日本子ども学会設立。9月第1回総会を開催。
また、10年前にも北海道子ども学会ができている。教育、福祉、保育、保健、医療分野から研究者、行政が集まって、年1回勉強会を開催している。

<参考文献>

『育つ育てるふれあいの子育て』 小林 登 著 (発行:風涛社)

『子ども学』 小林 登 著 (発行:日本評論社)

『赤ちゃんと脳科学』  小西 行郎 著(発行:集英社)

『子どもの睡眠』 神山 潤 著 (発行:芽ばえ社)

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この記事に関するお問い合わせ

高知県 教育委員会 幼保支援課

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