9−1 懲戒解雇

公開日 2013年07月08日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (徳島県労働委員会)


 私は、正社員として10 年勤務しています。先日、仕事でミスをし、会社に損害を与えてしまいました。数日後、会社から懲戒処分に該当するとして解雇を言い渡されました。確かにミスはしましたが、そのまま会社の処分を受け入れなければならないのでしょうか。

【お答え】


 懲戒処分とは、服務規律や業務命令に違反した労働者に対して、使用者が制裁として行う、懲戒解雇、出勤停止、減給等の不利益処分をいいます。
 労働契約法では、使用者が労働者を懲戒することができる場合において、その懲戒が、懲戒の原因となる労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として、当該懲戒を無効としています。
 これは、懲戒権濫用法理と呼ばれ、その内容は、主に次のようなものであるといわれています。
(1)まず、懲戒の理由となる事由と、これに対する懲戒の種類・程度が就業規則等で明記されていなければなりません。(罪刑法定主義)
(2)次に、使用者がその行為や被処分者に関する情状(勤務歴など)を適切に考慮しないで重すぎる量刑をした場合には懲戒権を濫用したものとされています。(相当性の原則)
(3)さらに、就業規則の同じ規定に同じ程度に違反した場合、これに対する懲戒は、同一種類、同一程度であるべきことが求められます。(公平性の原則)
(4)また、本人に弁明の機会を与えるなど、手続き的な相当性を欠く場合にも、懲戒権の濫用となります。(適正手続き)
 懲戒解雇は、労働者にとって極刑であり、通常は退職金の全部又は一部が支給されないばかりか、再就職の重大な障害となります。
 あなたのミスが、懲戒解雇に該当するほどのものか、就業規則の確認や、類似事例との対比など、(1)から(4)を踏まえた上で、会社に十分な説明を求めてください。
 会社の説明に納得がいかず、懲戒解雇の撤回を求める場合、労働組合への加入、労働審判制度の活用、民事裁判といった選択枝があります。
 また、労働委員会には、個々の労働者と使用者とのトラブル解決のための「あっせん制度」もございますので、ご相談ください。



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