5−2 退職前の年次有給休暇請求

公開日 2012年02月07日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (香川県労働委員会)


 私は、長年勤務してきた会社を今年、誕生月の6月末で、定年退職する予定です。退職後は、再就職せず、退職金と年金で生活する計画です。

 年次有給休暇が、繰越分を含め、30日残っていることが判りました。会社の所定労働日のカレンダーによると、5月の下旬ぐらいから取得できる計算です。

 何人かの知人に、(1)退職日後の請求、(2)金銭での買い取り請求、(3)5月の下旬から残日数を連続して退職日までの請求、などを相談しましたが、皆、意見が違って、困っています。

 今まで、仕事のほうは、休みたいときも頑張って、出勤してきました。また、休みを請求しても、会社から他の日への変更を言われたことはありません。

 長年勤めてきた会社ですので、最後になって、問題を起こしたくありません。どのようにすれば、いいでしょうか。


【お答え】


 労働者の年次有給休暇の取得は、日時を指定して使用者に通告することで請求出来ます。

 雇用契約上の権利で、出勤したものとして、扱われる為、勤務を要しなくなった(1)退職日後の請求は出来ません。

 しかし、結果的に取得できなかった残日数について、(2)のような金銭での買い取り請求は、必ずしも違反するものではありませんが、保障されたものでもありません。貴社の先例となり、他の従業員の取得を抑制する効果も否定できず、好ましいことではありません。休むことによって取得するのが、本来の制度趣旨です。

 本来、労働者の雇用契約上の権利ですから、(3)のように退職日まで、まとめて取得するということも出来ます。しかし、使用者には、事業を運営する責務があり、正常な運営を妨げられる場合、「時季変更権」といって、労働者が請求した日時を他の時季に変更する権利があります。ただし、「時季変更権」は、退職日までの範囲でしか行使できず、退職日後の変更はできないので、結果的に使用者は、認めざるを得ないと考えられます。

 貴社の業務運営も考慮し、話し合いで、前もって、余裕を持って、退職日までの取得日を請求してはどうでしょうか。円満に退職することをお勧めします。



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