5−2 退職前の年次有給休暇請求

公開日 2012年02月07日

更新日 2025年09月22日

【相談内容】 (香川県労働委員会)


 私は、長年勤務してきた会社を今年、誕生月の6月末で、定年退職する予定です。退職後は、再就職せず、退職金と年金で生活する計画です。                                       

 年次有給休暇が、繰越分を含め、30日残っていることが判りました。会社の所定労働日のカレンダーによると、5月の下旬ぐらいから取得できる計算です。
 何人かの知人に、①退職日後の請求、②金銭での買い取り請求、③5月の下旬から残日数を連続して退職日までの請求、などを相談しましたが、皆、意見が違って、困っています。
 今まで、仕事のほうは、休みたいときも頑張って、出勤してきました。また、休みを請求しても、会社から他の日への変更を言われたことはありません。
 長年勤めてきた会社ですので、最後になって、問題を起こしたくありません。
 どのようにすれば、いいでしょうか。

 

【お答え】


 年次有給休暇の取得は、雇用契約上の権利として、労働者が日時を指定して、使用者に請求することができます。

① 退職日後の請求
  既に雇用契約が終了し、有給休暇の取得権利も消滅しているため、請求できません。


② 金銭での買い取り請求
  請求することはできますが、就業規則等に買い取り規定がある場合を除いて、使用者は、買い取りを拒否することができます。買い取りに合意した場合でも、他の従業員の有給休暇取得に悪い影響を与えることも考えられ、好ましい方法とは言えません。休むことによって取得するのが、本来の制度趣旨です。


③ 5月の下旬から残日数を連続して退職日までの請求
  年次有給休暇の取得は、労働者の権利なので、退職日までまとめて取得請求すること自体は問題ありません。
  しかし、こうした休暇の取得が、会社の正常な運営を妨げるような場合、使用者は、労働者が請求した日時を他の時季に変更する「時季変更権」を行使できます。この「時季変更権」は退職日までの範囲しか行使できず、取得の時季を退職日後に変更することはできません。今回のご相談は、退職日前の休暇ですので、結果的に、使用者は、請求を認めざるを得ないと考えられます。


 いずれにしても、円満退職をお望みであれば、貴社の業務運営も考慮し、できるだけ早めに有給休暇の取得計画を立て、使用者とよく話し合った上で請求することをお勧めします。

 

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この記事に関するお問い合わせ

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所在地: 〒780-0850 高知県高知市丸ノ内2丁目4番1号(高知県庁北庁舎4階)
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