最大クラスの南海トラフ地震の特徴
最大クラスの地震・津波が発生すると、甚大な被害が東海から九州にかけて広範囲に及ぶため、県外からの早期の支援が期待できない可能性もあります。
1)長く強い揺れ
最大クラスの地震が発生すると、高知県全域は強い揺れに襲われ26市町村が最大で震度7に、残りの8市町村でも震度6強になると想定しています。
東日本大震災の震源域は、すべて海域でしたが、南海トラフ地震の想定震源域は陸域にもかかっており、高知県もこの中に含まれています。このため揺れが大きくなります。
震度分布図(最大クラス重ね合わせ)
揺れの強さが分かります。
(H24.12 高知県公表)
地震継続時間分布図(最大クラス重ね合わせ)
体に感じる揺れ(震度3相当以上)が続く時間が分かります。
(H24.12 高知県公表)
揺れが建物等に及ぼす影響
お住まいの地域の震度を見て、被害を確認しましょう。
気象庁震度階級関連解説表(抄)
震度階級 | 人の体感・行動 | 固定していない 家具の状況 |
屋外の状況 | 耐震性の低い 木造建築 |
斜面等 |
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5弱 | 物につかまりたいと感じる。 |
移動することがある。 |
まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。 | 軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。 | 落石やがけ崩れが発生することがある。 |
5強 | 物につかまらないと歩くことが難しい。 |
倒れることがある。 |
補強されていないブロック塀が崩れることがある。 |
ひび割れ・亀裂がみられることがある。 | |
6弱 | 立っていることが困難になる。 |
大半が移動し、倒れるものもある。 |
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。 | 倒れるものがある。 |
がけ崩れや地すべりが発生することがある。 |
6強 | 立っていられず、はわないと動けない。 飛ばされることもある。 |
ほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。 | 補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。 | 傾くものや、倒れるものが多くなる。 |
がけ崩れが多発し、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。 |
7 | ほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。 | 補強されているブロック塀も破損するものがある。 | 傾くものや、倒れるものがさらに多くなる。 |
揺れによる土砂災害
新潟県中越地震で崩れ落ちた民家
(2004年10月24日新潟県山古志村、
提供 共同通信社)
がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)
地面にしみこんだ水分が土の抵抗力を弱め、弱くなった斜面が突然崩れ落ちるのが一般的ですが、地震の揺れによっても地盤の抵抗力が弱まり発生することがあります。 地震時には突発的に起こり瞬時に崩れ落ちることがあります。
地すべり
比較的緩やかな斜面において、地中の粘土層など滑りやすい面が地下水の影響などでゆっくりと動き出す現象で地震によっても発生することがあります。 一度に広い範囲が動くため、ひとたび発生すると住宅、道路、鉄道、耕地などに大きな被害を及ぼし、川をせき止めて洪水等を引き起こすことがあります。
山津波
地震の揺れで斜面が崩壊することによって、川がせき止められ、土砂ダム(湖)ができます。堰が耐えられなくなると、せき止められた水や土砂が一気に下流を襲います。これが山津波(大規模土石流)です。
地震後、川の様子がいつもと違う(川の水量が変わる、水が急ににごるなど)ときは、山津波の前ぶれの可能性があります。まわりの人に知らせて、できるだけ早く避難しましょう。
仁淀川の河道閉塞(かどうへいそく)(1707年頃)
越知町の「越知町史」の年表に、1707年の頃に「大地震で越知町舞ケ鼻が崩壊し、仁淀川を堰き止めて洪水を起こす」と記されています。2008年に、痕跡地形の調査を行ったところ、記されていたとおり天然ダムの原因と考えられる土砂崩壊の跡が確認されました。
新潟県中越地震(2004年10月23日)の河道閉塞
地震による大規模な土砂崩れで川がせき止められ、上流の地域が水没しました。
2)早くて高い津波
高知県では、1メートルの津波が地震の発生から早いところでは3分で海岸線に押し寄せます。また、浦の内湾や浦戸湾の奥など一部を除くすべての海岸線で、津波の最大の高さが10メートルを超えると想定しています。
海岸線への1メートルの高さの津波到達時間
各市町村の海岸線での1メートルの津波が到達する時間が分かります。
(H24.8 内閣府公表)
海岸線での津波の高さ
各市町村の海岸線での最も高い津波高を示しています。
(H24.8 内閣府公表)
下記のような図(H24. 12高知県公表)は各市町村役場でご覧いただけるほか、県南海トラフ地震対策課のホームページhttps://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/010000/010201/でもご覧いただけます。
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津波浸水予測時間図
避難行動が取れなくなる深さ(30cm)の津波がやってくる時間が分かります。
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津波浸水予測図
津波による最大の浸水の深さと浸水する範囲が分かります。
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津波浸水域・津波痕跡重ね合わせ図
津波浸水予測や過去に発生した津波で「同じもの」は一つもないことが分かります。
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浸水深の目安
津波による最大の浸水の深さと浸水する範囲が分かります。
津波浸水深時間変化図
津波からの避難を継続しなければならないおおよその時間が分かります。
津波は何度も繰り返し押し寄せてきます。
津波は第一波が最大とは限りません。
3)長期浸水
地震が発生すると、高知県内の13市町では地盤の変動により、標高の低い土地が海面より低くなり長期にわたって浸水するおそれがあります。
特に高知市においては、地震発生時に約1.5m地盤が沈降するため、様々な都市機能が集中する中心市街地が約2800haも長期に浸水すると想定しているほか、宿毛市においても同様に、約2.4m地盤が沈降し、市の中心部が約559haも長期に浸水すると想定しています。
各市町の長期浸水面積(ha)
宿毛市 | 大月町 | 土佐清水市 | 四万十市 | 黒潮町 | 四万十町 | 中土佐町 | 須崎市 | 土佐市 | 高知市 | 南国市 | 香南市 | 安芸市 |
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559 | 28 | 43 | 188 | 46 | 50 | 48 | 336 | 125 | 3005 | 219 | 128 | 1 |
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高知市内の想定浸水範囲
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宿毛市内の想定浸水範囲
高知市の五台山から見た昭和の南海地震後3日目の高知市街と現在の市街。地震後には地盤の沈下によって市内の広い地域が水没しているのがわかります。
(地震後の写真は高知市提供)
昭和南海地震
*現在の地名で表示しています。
高知県や西日本各地に大きな被害をもたらした昭和南海地震は、1946年(昭和21年)12月21日午前4時19分に和歌山県潮岬の沖合い約50キロメートルの海底で発生しました。地震の規模を表わすマグニチュードは8.0でした。
高知県の沿岸には4~6メートルの津波が押し寄せ、大きな揺れと津波により679人が死亡・行方不明、1,836人が負傷したほか、4,846戸の家屋が全壊・流失するなど大きな被害が出ました。
- 家屋の倒壊
四万十市中村大橋通二丁目付近
- ビルの倒壊
高知市堺町付近
- 陸へ押し流された漁船。昭和南海地震で
宇佐湾沿岸は最大5メートル近い津波に襲われた
土佐市宇佐町(提供 高知新聞社)
- 揺れによる橋の落下
(9径間のうち6径間が落ちた。)
四万十市四万十川橋付近
- 揺れによる堤防の決壊
高知市葛島堤防付近
- 地盤沈下による浸水
高知市城見町付近
- 線路を津波による漂流物がふさぐ
須崎市浜町付近(提供 須崎市)