津波から身を守る
1)津波を正しく理解しよう
波浪と津波の大きな違い
波浪波浪は海面が風等によって波打つ現象
津波津波は海底から海面までの海水全体が動く(波長が長い)
津波の特徴
- 津波が押し寄せてくると、膝上の高さでも、人は立っていられません。
- 津波の波長(波の山から山までの距離、南海トラフ地震の場合は約50km)は長いため、深海ほど速く伝わり、浅くなれば速度は遅くなりますが波高は高くなる性質があります。
- 地震の発生位置(震源)や規模(マグニチュード)により、予想される到達時間や高さは違ってきます。
- 第一波が最も大きいとは限りません。繰り返し津波は襲ってきます。
- 引き波で始まるとは限りません。
津波の脅威
- 津波は川をさかのぼり溢(あふ)れることがあります。
- 平野部は注意が必要です。東日本大震災では平野部で内陸に5km以上津波が遡上しています。
- 須崎湾のようなV字湾などでは津波のエネルギーが湾の奥に集中し、波高が高くなることがあります。
- 引き波は流れが強く、壊れた家や船などは沖に流されます。
- 地球の反対側からでも津波は太平洋を伝わり、被害を及ぼします。(チリ地震津波)
避難行動要支援者への支援
近所に、自力で避難できなかったり、避難の判断や情報収集が困難な方がいる場合、普段のお付き合いを通じて、できるだけ状況を把握しておきましょう。(高齢者、障害者、傷病者、妊産婦、乳幼児、外国人等)
南海トラフ地震のような大きな災害が起こった場合、こうした方が被害に遭いやすい傾向にあるので、日頃から地域で話し合っておきましょう。
2)津波による被害
3)津波避難のポイント
地域で津波避難計画をつくり訓練して備えましょう
(津波避難計画については “地域で力を合わせちょき”をご覧ください)
ゆれたら |
揺れたらまず、自分の身を守りましょう。 長い揺れや強い揺れの後には必ず津波が来ると思ってください。 |
とにかく |
揺れがおさまったら、津波警報や津波注意報の発表を待たず、身一つで。
(メガネ、薬、携帯ラジオ、懐中電灯など避難するのに必要なものは、日ごろからすぐ持ち出せるようにしておきましょう。) |
いそいで |
決められた避難場所へ早く避難しましょう。
不慣れな土地などで避難場所がわからない場合は、高台やビルなど高いところへ上がりましょう。状況によってはさらに高いところに避難しましょう。 原則、車を使わず急いで逃げてください(渋滞に巻き込まれたり、車の鍵を探したりして逃げ遅れる可能性があります)。 |
津波警報等が解除されるまで |
津波は繰り返し襲ってきます。安全なところに避難したら、津波警報などが解除されるのをラジオなどで確認してください。 警報等が解除されるまで絶対に戻らないでください。 |
Q. 津波からどうやって避難すればいいの?(クリックで答えを表示)
Q. 津波の浸水がぎりぎり届かないと予測されている地域ではどうすればいいの?(クリックで答えを表示)
Q. いつまで避難してればいいの?(クリックで答えを表示)
Q. 港や海上にいるときはどうすればいいの?(クリックで答えを表示)
Q. 他にも津波から身を守る方法はあるの?(クリックで答えを表示)
4)東日本大震災での事例
揺れがおさまった直後、すぐに避難を
東日本大震災の被災者870名を対象にした調査結果(内閣府・消防庁・気象庁共同調査)によると、地震発生直後に避難した人は57%、31%は何らかの行動を終えて避難(用事後避難)、11%は何らかの行動をしているうちに津波が迫ってきて避難(切迫避難)していました。
地震発生直後に避難した方は津波に巻き込まれ流されるなどの非常に危険な目にあった方が少ないのに対し、何らかの行動をしているうちに津波が迫ってきて避難した方の約半数は命をとしかねない危険な目にあっています。こうしたことからも揺れがおさまったら、急いで避難することが自分の命を守ることにつながります。
本県では早い所では3分で海岸線に1mの津波が到達しますので、揺れがおさまったらすぐに避難することが大原則です。
今回の経験を経て、得られた教訓や後世に伝えたいことについて、住民からは以下のような意見がありました。
(自由回答)
教訓
- 大きな揺れを感じたら、すぐに避難する。
- ここなら津波は来ないだろうと思い込むのは危険である。
- 過去の津波経験がマイナスに働くことがあり、経験にとらわれないことも重要である。
避難行動・手段
- 緊急時に持って行く物を準備しておくことが重要である。
- 高いところへ逃げる。忘れ物をしても、絶対に取りに帰らない。
- 安全な場所を自分で判断できるようにしておく。
釜石市小中学校の避難成功例
東日本大震災において岩手県釜石市沿岸部の小中学校9校の生徒たちの避難率は100%に近く、ほぼ全が無事避難しています。避難をした生徒たちは、大津波警報などの公的な情報を待たず揺れがおさまった直後、自分の判断や教師の指示によってすぐに避難を開始しています。
一方、東日本大震災発生時の高知県では避難対象者(19市町村18万1,883人)のうち、実際に避難し たのは、わずか5.9%(1万755人)でした。津波が来ることはわかっていても避難行動を起こしていない方が多数を占めています。揺れがおさまったらすぐに避難するよう意識を持つことが大事です。
群馬大学理工学研究院 広域首都圏防災研究センター長
片田敏孝教授が教える津波避難三原則
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「想定にとらわれるな」
相手は自然です。何が起きるかわかりません。想定にとらわれずに揺れがおさまったら、すぐに避難しましょう!
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「最善を尽くせ」
避難場所に避難したとしても、自分で状況を判断し、もっと高い場所を目指すなど、どんな状況でもあきらめることなく最善を尽くしましょう!
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「率先避難者たれ」
周りの人が避難していなくても率先して避難しましょう!自分の命を守ることが周りの人の命を救うことにつながります。